[ニューヨーク 17日 ロイター] - 米ボストン地区連銀のローゼングレン総裁は17日、短期金融市場のボラティリティー抑制に向けた取り組みとして、銀行の資本要件の緩和よりも、連邦準備理事会(FRB)がかなりの規模の債券ポートフォリオを維持することで対応する方が望ましいと述べた。

ローゼングレン総裁はロイターのインタビューに対し、短期金融市場の問題に「規制を変更することで対応するのではなく、市場に十分な流動性を供給するに十分なほどにFRBが大規模なバランスシートを確実に維持することで対応したい」と述べた。

米短期金融市場では9月、銀行や企業が資金調達する際に支払うレポ金利が急上昇し、一部の翌日物取引では金利が一時10%を付けた。フェデラル・ファンド(FF)金利の実効レートもFRBの誘導目標レンジを上回った。FRBは短期金融市場の逼迫の緩和に向けレポ市場で公開市場操作(オペ)を実施するなど対応している。

ローゼングレン総裁は、FRB当局者は連日レポオペを実施しなくても済むような水準までバランスシートを拡大させる取り組みを続けていると表明。FRBは資金需要が高まる年末年始に向け潤沢な流動性を供給していると述べた。

総裁はこの日に行った講演で、米経済見通しに「大幅な変更」がない限り、FRBは短期的に追加利下げを実施する必要はないとの考えを示した。同総裁はFRBは今年に入り決定した3回の利下げにすべて反対。金融緩和を受け、信用の低い借り手が過度な債務を抱え込む恐れなどがあるとして、主に金融安定の観点から利下げに反対していた。

インタビューでも、低金利により企業が過度にリスクを取り、過剰な資金借り入れを行う恐れがあるとなお懸念していると表明。借り入れが膨れ上がっている企業は景気悪化時に従業員を解雇せざるを得なくなる恐れがあり、こうした事態になれば経済に対するダメージは拡大すると指摘した。

「過去2回の景気後退(リセッション)ではインフレが制御できなない状況には陥っていなかったが、資産価格が急騰し、その後に急落する事態に見舞われていた。つまり、景気後退を回避するにはインフレだけでなく、資産価格にも留意する必要があると考えている」とし、現在はFRBがカウンターシクリカル資本バッファーを引き上げるのに最適な時期になっていると述べた。