[ワシントン 17日 ロイター] - 米商務省が17日発表した11月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比3.2%増の136万5000戸と、市場予想の134万5000戸を上回った。住宅着工の許可件数は12年半ぶりの高水準をつけた。住宅ローン金利の低下が、引き続き住宅市場と広範な経済を下支えしている。

10月の住宅着工件数は当初発表の131万4000戸から132万3000戸へ上方改定された。

11月の前年同月比は13.6%増だった。

住宅着工許可件数は前月比1.4%増の148万2000戸と、2007年5月以来12年半ぶりの高水準だった。

米連邦準備理事会(FRB)が今年3回利下げしたことから、住宅ローン金利は昨年つけた数年来ぶりの高水準から低下し、米経済の約3.1%を占める住宅市場は勢いを取り戻している。前日発表された12月の住宅建設業者指数は1999年6月以来の高水準だった。

ただ住宅建設業者からは「労働力や用地など供給面での抑制があるため、建設できる余地が限られている」との声が上がっており、住宅市場が好調に伸びる見込みは少ない。さらに、FRBが、今後一段と金利を下げる可能性は低いと示唆したことから住宅ローン金利はここ数週間、再び上昇傾向にある。

FRBは先週、金利を据え置いた上で、少なくとも20年末までは金利を変えない可能性を示唆した。

連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、30年住宅ローンの固定金利は現在は平均3.73%と、9月上旬時点の3.49%から上昇している。ただ依然として18年11月につけたピークの4.94%は下回っている。

住宅投資は6四半期連続で縮小した後、第3・四半期に持ち直した。マイナスが続いた期間は07―09年の金融危機以来の長さだった。住宅投資は第3・四半期同様、第4・四半期も国内総生産(GDP)を押し上げる方向に働く見込みだ。

もっともMUFGのチーフ・エコノミスト、クリス・ラプキー氏は「米経済は完全に危機を脱したようには見えない」と指摘した。

住宅着工件数の前月比の内訳は、市場で最も大きなシェアを占める一戸建て住宅が2.4%増の93万8000戸と、1月以来の高水準だった。地域別では西部と北東部で増加した一方、中西部と人口の多い南部で減少した。月々の変動が激しい集合住宅は4.9%増の42万7000戸だった。

許可件数の内訳は一戸建て住宅が0.8%増の91万8000戸と、07年7月以来の高水準だった。集合住宅は2.5%増の56万4000戸だった。

住宅完成件数は6.6%減の118万8000戸。不動産業界では、在庫ギャップ解消には毎月の住宅着工件数と完成件数が150万─160万戸に達する必要があると見なされている。

建設中の住宅は1.0%増の117万戸と、07年4月以来の高水準。建設中の集合住宅は1974年9月以来の高水準となった。

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ネイビー・フェデラル・クレジット・ユニオンの企業エコノミスト、ロバート・フリック氏は、住宅在庫の増加だけではなく、住宅建設業界の成長が米経済をわずかに後押ししていることもうかがえると述べた。