(ブルームバーグ): HOYAは半導体製造装置を手掛けるニューフレアテクノロジー株を公開買い付け(TOB)で取得すると発表した。ニューフレアには、グループ会社の東芝がTOBを行っており、対抗する形となる。

発表によると、東芝のTOB終了後に売却交渉することも検討したが、早い段階でHOYAの完全子会社とし、協業体制を築くことが望ましいと考えた。また東芝ではなくHOYAのTOBへの応募を望む株主の存在も考慮した。ニューフレアとは協議しておらず、賛否は確認していない。

買い付け価格は1株1万2900円で、東芝の1万1900円よりも高い。最低でも66.67%の取得を目指す。全株を取得した場合の金額は1477億円。HOYAは、東芝が実施中のTOBが成立しなかった場合に2020年4月からTOBを開始する。フィナンシャル・アドバイザーは大和証券。一方、東芝は野村証券が務めている。

HOYAの広報担当、嵐田大志氏は電話取材で「三者三様にメリットのある提案だ。当社にとってはシナジーがあり、ニューフレアは事業が軌道に乗っていく。東芝にとっても価格が魅力的だ」と話した。

ニューフレアは、株式の52%を東芝が保有している。東芝によるTOB期限は25日。ニューフレアは東芝のTOBに賛同意見と応募推奨を表明していた。

東芝広報担当の原みどり氏は、ニューフレアの企業価値を最大限に向上するのは東芝による完全子会社化だとした上で、東芝が「TOBの成立を目指す予定に変わりはない」と電子メールで回答した。買い付け価格はニューフレアの特別委員会との協議を経ており、「適正な価格」だとしている。

発表を受けニューフレア株は前日比12%高の1万3330円と買い付け価格を上回って13日の取引を終了した。HOYA株は2%、東芝は0.5%高となった。

HOYAはライフケアや情報・通信事業を手掛け、19年3月期の売上高は5658億円だった。ブルームバーグのデータによると、07年にペンタックスを1120億円、17年にはパフォーマンス・オプティクスを4億7600万ドルで買収しており、今回は過去最大のTOBとなる。

HOYAはキオクシア(旧東芝メモリ)ホールディングス株式を議決権ベースで9.9%保有している。

東海東京調査センターの石野雅彦シニアアナリストは電話取材で、ニューフレアはHOYAの資本が入ることで顧客のニーズに合った製品の開発に注力でき、「ウィンウィンになる可能性はある」と指摘。HOYAはスピード感をもって関係強化に動こうとしたとみている。

ニューフレア株を巡っては、物言う株主(アクティビスト)として知られる村上世彰氏と関係のある南青山不動産が今月に入り買い増した。保有目的は「投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案等を行うこと」としている。

(背景やアナリストの見方を追加しました)

--取材協力:藤本葵、谷口崇子.

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