[東京 12日 ロイター] - 内閣府が12日に発表した10月機械受注統計によると、船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は、事前のプラス予想に反して前月比6.0%減となった。4カ月連続の減少。製造・非製造業ともにマイナスで、中でも産業機械工業からの受注の落ち込みが続いている。

内閣府は、機械受注の判断を9月の「持ち直しの動きに足踏みがみられる」から「足踏みがみられる」に修正した。振れの大きい機械受注が4カ月連続して減少し、3カ月移動平均でみても減少傾向にあることなどを理由に挙げた。

製造業は前月比1.5%減で3カ月連続の減少。はん用・生産用機械(一般機械)の落ち込みが大きく、すでに5四半期連続で受注減となっていたが10月も減少した。

昨年末ころから産業機械や工作機械などの主要機種の受注が急減しており、消費増税前には駆け込み需要とみられる受注増があったものの、10月は再び落ち込んだ。世界的に設備投資の停滞が続いていることをうかがわせる結果となった。

このほか、情報通信機械や造船業も減少した。

他方、電機からの受注は今年に入り増加傾向をみせている。情報化投資やAI・IoT投資などが底堅いことが背景とみられる。自動車・部品も、究開発投資や能力増強投資などを反映し、この2カ月はやや持ち直している。

非製造業は5.4%減と2カ月ぶりの減少。農林漁業や情報サービス、通信業からの受注が低迷した。

外需は2.9%増。7─9月期まで2期連続増加の後、10月も増加となった。

内閣府は10―12月期の受注予想を前期比3.5%増としているが、スタート月で予想以上の減少がみられ、見通し達成は難しくなりそうだ。

農林中金総研・南武志主席研究員は「今四半期に前期比プラスを確保するためには、11─12月は前月比9.15%以上のペースで増加しなくてはならない。2四半期連続の増加もかなり厳しくなってきた」とみている。

米中貿易摩擦の影響で世界的に設備投資が低迷する中、半導体需要の底打ち期待もあり、外需も夏場から回復傾向がみられる。しかし、国内民需は7─9月の前期比減少の後、10─12月に回復するのか不透明な状況となった。

非製造業で増税対応の投資が一巡し、五輪向け建設投資も終了した後、省力化投資や5G投資向けの受注動向が期待されている。12月日銀短観での設備投資計画が注目されそうだ。

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(中川泉 グラフ作成・編集:田中志保)