[オタワ 4日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)は4日(訂正)、政策金利を予想通り1.75%に据え置いた。世界経済安定化の初期兆候に言及する一方で、貿易戦争による不透明感が引き続き見通しの主要なリスクと指摘した。

中銀は昨年10月から金利を据え置いているが、将来的な政策対応は貿易摩擦による影響と個人消費や住宅動向などで示される経済の耐性を比較評価した結果次第との見解を示した。

声明では「世界経済が安定化しつつある初期の兆候が見られ、成長は今後数年にかけての小幅に加速するとみられる」とし、設備投資は第3・四半期に予想外に力強い伸びをみせたと指摘した。

一方で、「継続中の貿易摩擦や関連する不透明感はなお世界経済の重しになっており、引き続き見通しにとって最大のリスク要因だ」と警告した。

ポロズ総裁は10月、現行の景気刺激策は依然として適切だが、貿易摩擦を背景に今後数カ月間で利下げをする可能性は排除しないと述べた。また、11月にはカナダの現在の金融情勢は適切との見方を示した。

中銀は、第3・四半期の個人消費が緩やかに拡大し、住宅投資も堅調だったと指摘。「家計部門に関連する財政的脆弱性の動向を引き続き注視する」とした。

インフレは中銀目標の2%水準で、今後2年間はこの水準近辺で推移すると予想した。

中銀決定を受け、カナダドルは対米ドルで2週間ぶり高値の1.3231カナダドルを付けた。

TDセキュリティーズのストラテジスト、アンドリュー・ケルビン氏は、中銀声明について「国内経済に関する表現を見れば、かなり幅広い範囲でポジティブだ」と指摘。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は、設備投資の回復と個人消費の安定した伸びに中銀は安心しているようだとし、「貿易を巡る一部の混乱を除き、中銀はより長期にわたり様子見を続けることに満足しているようだ」と述べた。

金融市場は、中銀が2020年末まで金利を据え置くとみている。[BOCWATCH]

一方、 スコシアバンクの資本市場バイスプレジデント、デレック・ホルト氏は、声明にはタカ派的な転換も見られるとし、「中銀は、世界的な貿易政策のリスクや金融市場のリスク、米ドル調達圧力といった点で市場が知らないような何かを知っているに違いない」と述べた。

*第1段落の「30日」を「4日」に訂正しました。