企業価値評価を高める「株主との対話」
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注目のコメント
株価が好調な会社のIRのパワポプレゼンを表面的に真似して資料を作成したり、バラ色の将来を示して投資家に夢を売るのが、正しいIRだとは思いません。
私の考える(上場企業の)IRの本質とは:
・まず、経営者(経営チーム)が、経営者とは資本市場の投資家(株主や潜在投資家を含んだ広い概念)たるプリンシパルから株式価値の上昇を受託している経営のプロという認識を持つ
・だから、経営者は、投資家のために、株式価値を向上させる戦略を立案し、実行する
・経営者は、IR活動を通じて分かりやすく戦略や事業の成果を株主にお伝えする。経営者はあくまで受託者なのだから、プリンシパルたる投資家が判断できるように、良い情報(成果)だけでなく悪い情報(損失やリスクファクター)もお伝えする
-もちろん、経営者が優秀で経営がうまく行っているのなら、お伝えする情報のうち、良い情報の方が多くなることはあります
・世界や競合を俯瞰して見ている資本市場の投資家から、経営にとり有用な情報をいただくこともある。それを受け取ったIRチームは経営者に還元し、経営者は当該インテリジェンスを(必要に応じて)経営の戦略の立案に反映していく
・こういう経営者と資本市場とが、IR活動を通じて双方向で繋がり、サイクルしていく
こんなのが、良いIRだと思っています。
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ちなみに、全米IR協会によるIRの定義は下記の通りです(括弧や段落は、読みやすいように、私が挿入しています)。経営やIRの実務経験を経て眺めると、良い定義だなと思います。
インベスター・リレーションズ(IR)とは:
・財務機能、コミュニケーション機能、マーケティング機能及び証券法の遵守に係る機能を統合し、「企業」と「金融業界や他のステークホルダー」との最も効率的な双方向コミュニケーション(Most effective two-way communication)を可能にする、戦略的な経営責務(Strategic management responsibility)である。
・そしてその活動は、究極的には、企業の株式に係る公正な評価の実現(Achieving fair valuation)に寄与する。IRは錬金術ではないため、業績という結果を示さなければ株価に反映されませんが、投資家との適切なコミュニケーションを行わなければ業績結果をだしてもフェアバリューになるとは限りません。フェアバリュー実現には、投資家との継続した適時適切なコミュニケーションが必要です。