【吉野彰の原点】「科学の面白さ」は、ロウソクが教えてくれる

2019/12/7
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ぜひ、週末のひとときで新たな知識を手に入れてほしい。
この宇宙を支配する法則のうち、ロウソクが見せてくれる現象に関わりがないものは一つもないくらいだ――。
イギリスの化学者、マイケル・ファラデーは講演に集まった少年少女たちにそう語りかけ、実験を始める。
誰もが身近に感じられるだろうロウソクを題材に、聴衆に科学を親しみやすい形で見せようとしたのだろう。
普段何げなく目にしているロウソクだが、石油ランプと比較して燃え方を考えてみると不思議なことに気がつく。
石油を油つぼにいれ、その中に芯をたてて火をともす石油ランプでは、炎は芯をつたって下にいき、油の表面で消えている。
考えてみれば、油自身は燃えないのに、芯の上だけは燃えるのは不思議ではないだろうか。
ロウソクではもっと不思議なことが起こっている。ロウは固体であり、液体と違って動くことができない。
それなのにどうしてロウは、炎のところまで上っていって燃えることができるのだろうか。

ロウソクの謎を解き明かす「現象」

この不思議な現象について、ファラデーは次のように解説する。