[ワシントン 2日 ロイター] - 米通商代表部(USTR)は2日、フランスのデジタルサービス税が米IT(情報技術)企業を不当に差別しているとして、シャンパン、ハンドバッグ、チーズなどフランスからの24億ドル相当の輸入品に最大100%の追加関税を課す可能性があると明らかにした。

USTRは「通商法301条」に基づく調査の結果、仏デジタル課税は「国際税制の一般的な原則に合致せず、対象となる米企業にとって異例の重荷だ」と結論付けた。

仏デジタル課税はアルファベット<GOOGL.O>傘下のグーグルやフェイスブック<FB.O>、アップル<AAPL.O>、アマゾン・ドット・コム<AMZN.O>などが対象となる。

ライトハイザーUSTR代表は、オーストリア、イタリア、トルコのデジタル課税についても同様の調査を行うか検討中だとした。

また、EU加盟国はデジタルサービス税や米IT大手を標的としたその他の措置を通じて、米企業を不当に狙った保護主義的な姿勢を強めていると指摘し、USTRはそうした動きに対抗することに注力していると説明した。

USTRは追加関税の対象品目について来年1月14日までパブリックコメント(意見公募)期間を設け、1月7日に公聴会を開く。関税発動予定日は明らかにしなかった。

今回関税の対象に含まれたスパークリングワインやハンドバック、化粧品などは、航空機補助金を巡り米国が課した25%の追加関税では対象外となっていた。関税が発動されれば、高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)や<LVMH.PA>や化粧品大手ロレアル<OREP.PA>などが打撃を受ける。

米議員やIT業界団体はUSTRの調査結果を歓迎する立場を示した。上院財政委員会のグラスリー委員長(共和党)と同委員会の民主トップであるワイデン上院議員は共同声明で、「仏デジタルサービス税は不当で保護主義的、差別的だ」と非難した。

在米フランス大使館とワシントンにある欧州連合(EU)代表部の広報担当からコメントは得られていない。

ただ、USTRの調査結果が出る前に、仏政府の高官は、デジタル税は米IT企業だけを標的にしているわけではないとあらためて反論し、USTRの結論に異議を唱える考えを示した。

「フランスがデジタル税を諦めることはない」と強調した。

フランスのデジタルサービス税は同国内の売上高が2500万ユーロ(2786万米ドル)で、世界での売上高が7億5000万ユーロ(8億3000万米ドル)の企業に対し、デジタルサービス収入の3%を徴税する。

*内容を追加しました。