[横浜市 2日 ロイター] - 日産自動車<7201.T>の内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)は2日、就任後初の記者会見を開き、事業の立て直しや着実な成果には仏自動車大手ルノー<RENA.PA>と三菱自動車<7211.T>との3社による「アライアンス(連合)の活用は欠かせない」と述べた。その上で、日産の「会社としての独立を保持しながら」企業活動を進めると語った。

内田社長は冒頭、昨年11月のカルロス・ゴーン前会長の逮捕以降、社内に大きな混乱をきたし、世間を騒がせたことを「厳粛に受け止めている」と述べた。自身の役割は「前経営陣が1年かけて築き上げた信頼回復と業績の基礎を実行に移し、形にしていく」ことだと説明した。

アライアンスは「日産にとって重要な競争力」と​述べ、今後も「ウィン・ウィンの原則」に従い進化・強化させる認識を3社で共有していると強調した。ルノーとの経営統合については、同社のジャンドミニク・スナール会長やクロチルド・デルボス暫定CEOとも「議論していない」と明言し、当面は各社の課題解決を優先して短期的には「お互いがどう収益貢献できるか」に集中すると述べた。これまでの西川広人前社長とほぼ同じスタンスとなる。

事業変革への準備を強化するため、新たな計画策定に向けた準備に着手したと説明。「私が直接指揮を執って進める」として中期経営計画を見直すことも明らかにした。日産にとって最も重要な経営の柱は新商品と新技術を軸とした「着実な成長」だとし、「計画通りに新車開発をし、適正な価格とタイミングで魅力的な車を提供し続けられる体制を作る」と話した。

ゴーン体制​下​で​組織​に​生じたゆがみにも言及。「日産社員一人一人の能力は非常に高い」とする一方、これまでの反省点として、目標設定で「できないことをできると言わせてしまう文化をいつのまにか作り上げてしまった」との認識を示した。社員の自発的な横の連携や問題解決への意欲をそぎ、ハードルの高い目標達成のために短期的成長を求めた行動を起こし、技術・商品開発、将来への設備や人材への必要な投資に影響が及んだと振り返った。

達成できない目標を掲げた結果の典型例として「インセンティブに頼った短期的な販売増がブランド力と収益力の低下を招いた」と指摘。今後は議論を尽くして事業運営に臨み、社員にとって透明性が高く、「異論・反論が許される会社風土を作ってきたい」と語った。

新体制は1日に発足した。今後はゴーン前会長の「独裁体制」から3氏による「集団指導体制」に移行し、業績の立て直しを急ぐ。日産の専務執行役員で中国・東風汽車との合弁会社総裁を務めていた内田氏が社長兼CEO、代表執行役兼最高執行責任者(COO)には三菱自COOだったアシュワニ・グプタ氏、副COOには日産専務執行役員だった関潤氏が就いた。

*内容を追加しました。

(白木真紀 記事作成:青山敦子 平田紀之 編集:田中志保)