[東京 28日 ロイター] - 前場の東京株式市場で、日経平均は前営業日比16円19銭高の2万3453円96銭となり、小幅続伸。米国株高や円安を好感して買い優勢で始まったものの、香港人権法案の成立を受けて売り物に押される場面があった。その後は、アジア株が落ち着いていることなどを受け、引き戻したが、強弱感が対立する状況となっている。

27日の米国株式市場は、経済指標で国内景気の底堅さが示され、感謝祭の祝日を前に商いは薄いながらも主要3指数は連日の最高値更新。さらに、外為市場ではドル/円が109円台半ばまで円安に振れるなど、日本株に追い風が吹く格好となった。

朝方は買い優勢でスタート。しかし、寄り前にトランプ米大統領が香港のデモ隊を支援する法案に署名、香港人権法案が成立したことが気にされ、次第に先物から利益確定売りを急ぐ動きが広がった。

ただ「米中通商協議は今のところ継続している様子で『第1段階』の合意に対する期待も維持されている。下で待っている人に押し目を提供しただけではないか」(国内証券)との指摘もあり、売り一巡後は買い直され、前引けはプラスで終わった。

市場では「トランプ大統領の署名が嫌気されたが、ドル/円が109円台の半ばまで円安に振れたことは大きい。この円安水準では売り込めず、当面は様子見となるのではないか」(SBI証券・投資調査部長の鈴木英之氏)との声も聞かれる。

TOPIXは0.03%安で午前の取引を終了。東証1部の売買代金は7823億1800万円と細った。東証33業種は、鉄鋼など16業種と約半数が値上がりした。個別では、トヨタ自動車<7203.T>など主力輸出関連株に高い銘柄が目立つ。富士通<6702.T>が連日の上場来高値更新となった。

東証1部の騰落数は、値上がりが691銘柄に対し、値下がりが1345銘柄、変わらずが114銘柄だった。