消費増税後の日本経済、ここへきて「再デフレ」が懸念され始めたワケ
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消費増税前には緩やかながらも一部で駆け込み需要が表れた一方、引き上げ後の反動減が懸念されています。26日(火)に公表した「消費税率引き上げ」に関する下記調査レポートもご参照下さい。
【調査レポート】「駆け込み需要と反動減に関する企業の意識調査」
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p191107.html
駆け込み需要、企業の26.5%にとどまる
~小売業は半数以上の企業で反動減が発生~なるほどねと思える点が多々あって面白い。勉強になりました。とはいえ、ここに来て再デフレが懸念されるようになったのには、別の理由もあるんじゃないのかな・・・
今回の成長局面の前半、黒田バズーカと呼ばれる極端な金融緩和に反応してドル円は80円前後から125円まで一気に円安になりました。加えて、アベノミクスの当初、政府は10兆円の補正予算を組んで公共事業を大きく積み増しました。資源を輸入に頼る我が国で、円安になれば当然物価は上がります。公共事業による需要増加も物価の上昇に効いていた。
これらの効果が一巡したあと、小粒な金融緩和は何度かあったけど、バズーカが撃たれることはなく、ドル円は円高方向に動いて長い間110円を挟んで行ったり来たりです。公共事業も高い水準が続いていますが、前年対比で大きく増えることはありません。
前回の消費増税があったのは、前半のカンフル効果が効いている最中です。前回景気が冷えたのは全て消費増税のせいにされているけれど、消費は駆け込み需要の反動落ちが消えると共にそこここ回復しています。ホントに消費が冷えて景気が悪くなったのは、前半の二つのカンフル剤の効果が切れたころ。そしてこの先どうなるか、と心配されていたところで世界経済が好調になって輸出が増え、後半の成長が始まりました。ここに来てそれが無くなって、我が国の先行きが再び心配されています。経済に成長力がなくて経常収支が黒字、ドル円相場も安定していれば、デフレ気味になるのは当然です。消費税の増税影響は政府の対策もあって前回より小さいけれど、本質的な経済の状況が前回増税時とは異なります。
異端とされたリフレの理論が全盛になって、インフレが経済を成長させデフレが経済を低迷させるように言われているけれど、インフレ・デフレは予測の範囲にある限り、実体経済に中立というのがつい先日までの理論だったはず。経済の成長力が強くて賃金が上がり、需要が盛り上がって起きるインフレは良いけれど、極端な金融緩和による円安でコストを上げて無理やり起こすインフレは庶民の生活を苦しくするだけです。インフレ・デフレで一喜一憂するよりも、本質的な成長力を高めることにこそ注力すべき時が来ているように感じます (^^;私もNHKの日曜討論等で指摘させていただいてますが、ここもとの雇用環境の悪化を懸念しています。
また、以前から指摘していましたが、今回の消費増税はキャッシュレスのポイント還元などにより、小売りを疲弊させる可能性もあると思いますので、前回より価格転嫁や駆け込みが小さかったと言って、マクロ経済的に楽観すべきではないと思います。