[フランクフルト 18日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのバスレ・スロベニア中銀総裁は、ユーロ圏経済は安定化したとし、ECBが9月に決定した包括的な緩和策は意図した通りの効果を発揮しているとの見解を示した。

ユーロ圏の経済成長の鈍化を受け、ECBは9月の理事会でマイナス金利の深掘りや資産買い入れ策の再開などを含む包括的な緩和策を決定した。

バスレ総裁はロイターのインタビューに対し、「成長見通しをさらに変更しなくてはならない理由はない」とし、「経済はECBの最新見通しに沿って展開している。現時点ではすべてがコントロール下にあり、想定外の方向には向かっていない」と述べた。

その上で、産業や通商に関する指標を踏まえると、成長鈍化は来年上半期まで継続する可能性があるとしながらも、サービス部門や労働市場ではより前向きな兆候が見られていると語った。

ただ、ECBの政策余地は限定されているとの認識も表明。「景気サイクルは終盤にさしかかっており、経済情勢は軟化している。ECBの金融政策は現時点ではかなり引き伸ばされている」と述べた。ただ「9月に決定した包括的緩和策は効果を発揮している」とし、「状況に変化があれば、(利下げの方向に)動く余地はまだある」と語った。

ECBの緩和策を受け、国債利回りのほか、一部市場金利が上昇したが、バスレ総裁は資金調達状況は逼迫しておらず、懸念する必要はないと指摘。「上昇の背景には基調的な景気情勢があり、この一部はECBの措置が長期的なものであることに関連している。包括策を決定してからまだあまり時間が経っていないため、影響について判断するのは時期尚早」と述べた。

ECBは成長押し上げには各国政府の財政出動が必要との見解を長らく表明。バスレ総裁は「ECBは(金融政策面で)大きな措置を実施した。ただ、今は他の政策の協力が必要な時点に達している」とし、「各国政府はECBとは異なる目標を掲げており、対応が鈍いことの理由は理解できる。このため、(ECBの金融政策の)カウンターパートとなるユーロ圏全体の財政機構(の創設)を支持している」と述べた。