精神的ダメージを最低限に抑える

完全在宅勤務は、最高の夢──。そう思うビジネスパーソンは少なくないだろう。
つらい通勤はないし、厄介な人間関係に悩まされることもない。もちろんパジャマで仕事をしていても、誰にも文句を言われることはない。これが最高でなくてなんだろう。
たしかに在宅ワークにはいいことがたくさんあるし、生産性を高める場合もあるけれど、ダークな側面もある。最初の2週間くらいは最高の気分だが、やがて曜日の感覚がなくなり、孤独感が押し寄せてくるからだ。
筆者も、在宅ワークを始めて1年経つからわかる。用心しないと、世界から取り残されている気がしてくるのだ。
まず、仕事を始める時間がどんどん遅くなる。すると仕事が終わる時間も遅くなり、あれこれ悩んでいるうちに、ベッドに入るのは午前2時といった具合だ。
ソーシャルメディア「バッファー(Buffer)」が在宅ワーカーの現状を調べたところ、49%が「在宅ワークの最大の問題はメンタルヘルスだ」と考えているという。具体的には、22%が「仕事モードを切り替えられない」と答え、19%が孤独感にさいなまれ、8%が「モチベーションが起きない」と答えた。
筆者が知る在宅ワーカーの多くもこの罠にはまった経験があり、筆者が在宅ワークを始めるとき、いろいろアドバイスをくれた。おかげで筆者は、精神的ダメージを最低限に抑えて移行できたが、こうした助言がなかったら、同じ問題に苦しんでいたに違いない。
そこで、在宅ワーカーにありがちな気分の落ち込みや仕事の先延ばし、そして孤独を避けるために有効だった5つのアドバイスを紹介しよう。
1. 予約はすべて午前中に
内科医、歯医者、ジムのトレーナー……。午前中に予約できることは、すべて午前中に予約しよう。そうすれば、否が応でもベッドから出なくてはいけなくなり、「起きてみたら昼だった」ということはなくなるはずだ。
2. 昼食時間は外に出よう
天気がよければ、昼食時間は散歩をしたり、ちょっとした用事を済ませるのにぴったりの時間帯だ。パソコン画面から目を離して、ビタミンDを摂り、心身ともにリセットしてから午後の仕事に取り組める。
3. 近隣でのネットワーキングや社交活動を増やす
自宅近くで開かれるミートアップを見つけて参加したことで、筆者のライフスタイルは大きく変わった。職場での社交に代わって、地域コミュニティーから多くのことを学ぶ機会ができた。ネットワーキングや趣味のイベントは外出する理由になるし、孤立感からも救ってくれる。
フェイスブックなどのソーシャルメディアやコワーキングスペースの掲示板、近所のカフェなどでもさまざまなイベントが告知されているから、こまめにチェックするといいだろう。
4. ホームオフィスに投資する
筆者の場合、約10万円かけてホームオフィスをアップグレードした。それは、これまでで一番の「自分への投資」だったと思う。
壁はギャラリー風にし、スタンディングデスクと寝そべることができるラウンジチェア、それに全身が埋まるオフィスチェアも調達した。おかげで、仕事部屋が自宅で一番お気に入りの場所に変身した。
環境を整えると、仕事するのが楽しみになる。
まずはクールなモニターなど、仕事の生産性を確実に上げてくれそうなアイテムを調達しよう。それから観葉植物や額縁の絵など、見た目に美しいもの(ただし手頃な価格のもの)を置いてみよう。そこから先は予算とスペース次第だ。
5. 保護犬を預かる/引き取る
筆者の場合、これが在宅ワークを続けるうえで最も重要な精神安定剤になった。犬がいると、冬は温めてくれるし、散歩に連れて行く(休憩を取る)ことを思い出させてくれる。
そして何事もあまりくよくよ考えなくなる。保護犬なら、身寄りのない犬(猫でもいい)に家を与えてやることもできる。「いいことをしている」という感覚は、心身の健康にとてもいい。
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在宅ワークは、会社勤めとはまったく異なる柔軟性を人生に与えてくれるが、オフィスならではのルールがないだけに、たちまちだらけた生活に転落しがちだ。自分の心身が出す警告にはきちんと気を配ろう。5つのヒントを踏まえれば、最高の在宅ワーク人ライフを送れる可能性はぐっと高まる。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Melissa Mapes/Founder and CEO, Real Big Words、翻訳:藤原朝子、写真:Bulgac/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.