[ソウル 15日 ロイター] - エスパー米国防長官は15日、在韓米軍の駐留経費について、韓国側の負担増額を求めた。

韓国が破棄を決めた日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)については、協定を維持すべきだとの認識を示した。

韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相との会談後に会見で述べた。

北朝鮮の核問題については、外交を通じた解決に向けて、米韓共同軍事演習を柔軟に修正する必要があると指摘した。

ただ、米韓共同軍事演習を新たに中止する計画は発表しなかった。北朝鮮は14日、米国から非核化を巡る新たな協議の提案があったが、「北朝鮮の懐柔」を目的とする協議に応じる意思はないと表明した。

<在韓米軍の駐留経費>

エスパー長官は会見で、韓国の負担を増やす方向で米軍の駐留経費分担に関する合意を年末までに取りまとめることが極めて重要と表明。「(韓国は)裕福な国なので(在韓米軍のための費用負担を)増やすことが可能であり、増やすべきだ」と強調した。

鄭氏は、在韓米軍の駐留経費分担を取り決める協定について、公正で双方にとって合意可能な内容にすべきとの見解で一致したと述べた。

ただ、どの程度の負担が公正なのかを巡って、米韓の見解が一致しているのかは不明。

韓国議員が先週明らかにしたところによると、米政府は在韓米軍の駐留経費について韓国側の負担を最大で今年の5倍以上の年間約50億ドルに引き上げることを求めている。

韓国政府系シンクタンク、韓国統一研究院が先週発表した調査によると、韓国人の96%は駐留経費の負担拡大に反対している。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)は15日、米国が在韓米軍の駐留経費の負担拡大を韓国に要求していることについて、「他国からの略奪」を通じて、アジアでの軍事力を強化しようとしていると論評した。

韓国外務省は、防衛費に関する次回の協議を今月18─19日にソウルで行うと発表した。

<GSOMIA>

エスパー長官は、韓国がGSOMIAの破棄を決めたことについて、軍の即応性に影響すると発言。「GSOMIAが失効し、日韓の摩擦が続けば、北朝鮮と中国が得をするだけだ」と述べた。

鄭氏は、エスパー長官とGSOMIAの破棄について個人的な意見交換をしたと発言。見解の差を縮めるため、GSOMIAが失効する今月23日まで、韓日両政府が努力すると述べた。ただ現時点では事態打開の兆しは見られない。

鄭氏は、エスパー長官との会談で米国による北朝鮮抑止のコミットメントと北朝鮮の非核化に向けた取り組みについて再確認したとも表明した。

*内容を追加しました。