[15日 ロイター] - 中国国家統計局が発表したデータに基づくロイターの算出によると、10月の主要70都市の新築住宅価格は前月比0.5%上昇した。

上昇率は9月と同水準で、54カ月連続の上昇となる。一方、70都市中、前月比で価格が上昇したのは50都市で、9月の53都市から減少した。

前年比では7.8%上昇。9月の8.4%上昇から鈍化した。上昇率は昨年8月以来の低水準だった。

主要都市で上昇率が鈍化しており、地元政府が需要下支えのため、投機対策を緩和する可能性がある。

ノムラのアナリストはリポートで「中小規模の都市での不動産市場悪化が見込まれる」と指摘。「中国政府は市場の安定に向け、来年春までに不動産引き締め策を一部緩和する必要が生じるのではないか」との見方を示した。

国家統計局の声明によると、巨大都市の北京、上海、深セン、広州の新築住宅価格は前月比0.1%上昇。9月の0.4%上昇から鈍化した。首都北京では0.2%下落した。

2級都市は0.5%上昇、3級都市は0.6%上昇。上昇率はそれぞれ0.1%ポイント、0.2%ポイント鈍化した。

中国の経済成長率が約30年ぶりの低水準に減速するなか、不動産セクター全般にも軟化の兆しが見られ、これが省政府に住宅購入規制を緩和する口実を与える可能性があるとみるアナリストもいる。

南京や天津などの都市は熟練労働者を呼び込む奨励策として住宅購入規制を緩和しているが、地域の不動産市場のてこ入れを狙っているとの指摘もある。

しかし、中国全体の傾向はまちまちで、価格が急激に鈍化している都市もあれば、過熱の兆候が見られる都市もある。

価格の上昇率が最も高かったのは西寧で、前月比2.8%上昇した。

中国政府は景気対策に不動産セクターを利用しない方針を堅持しており、住宅購入規制を緩和する動きが中国全土に広がる可能性は低い。しかし、年末までに不動産政策を都市ベースで小規模に緩和する動きが出てくると予想するアナリストもいる。

中国人民銀行(中央銀行)の元アドバイザー、盛松成氏は、中国の不動産規制は適切な状態にあるため、さらに強化すべきではないとの見解を示した。経済誌「第一財経」が12日に報じた。

国家統計局が14日発表したデータを基にロイターが算出したところによると、10月の不動産投資と不動産販売(床面積ベース)はいずれも7月以来の低水準を記録した。

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