ロゴだけがブランドではない。ブランディングを構成する2つの要素

2019/11/15
 最前線で活躍するイノベーターたちの講義をオンラインでお届けする動画講義『MOOC』。
 今回はインサイトフォース株式会社 代表取締役社長 山口義宏氏の「明日から使える ブランド戦略バイブル」を配信する。
 アップル、スターバックス、ダイソン、世界的な企業は市場において強力な「ブランド」を構築している。また国内で飛躍を遂げて企業も、特定の製品・サービスで他の追従を許さない強さを有しているケースが多い。
 これらの企業はなぜブランドを確立し、市場シェアを確保し続けているのか。今回のMOOCでは、ブランドを構築する術をゼロから学ぶ。
 「約3分×10回」の講義では、ブランドが必ずしもロゴや高級商材を意味しないことなどをお伝えし、ブランディングに対する実践的な知識を身につけていく。
 今回は無料公開中の第1話の内容と第2話以降の概要についてお伝えする。

ブランディングを成す2つの要素

 山口 皆さんは「ブランド」と聞くとどんなことを想起しますか。
 多くの方は「ロゴ」や「商標」、「高級品」などを思い浮かべるのではないでしょうか。
 しかしブランドを構成する要素はこれだけではありません。
 ここで覚えていただきたいのは、「知覚価値」と「識別記号」です。
 先ほど挙げた「ロゴ」などはまさに典型で、五感で識別できるものは「識別記号」にあたります。
 キャラクターとして認識されているソフトバンクの「白い犬のお父さん」なども識別記号の一つです。
 さて、識別できたら次に価値を意識するようになります。この価値が「知覚価値」になります。
 例えばコカコーラであれば、「気分転換」、「刺激的」などの知覚価値が挙げられます。
 ブランドとは、識別記号と知覚価値が結びついた総体になります。
 もし全くブランドが無い状態だとどうなるでしょうか。
 例えばコンビニに足を運んだ際に、ノーブランドのお茶や炭酸飲料ばかり並んでいたら、商品を選べるでしょうか。
 恐らく選べないはずです。なぜなら、皆さんは無意識のレベルでブランドの価値を認識して商品を手に取っているのです。
 物を購入する際に、製品を相対比較して丸やバツをつけて評価している人は非常に少ない。ほとんどの人は、「ブランドのイメージ」で購入しているでしょう。
 ブランドはそれだけ私たちの消費行動に影響を与えているのです。
 企業の側からすると、「識別記号」と「知覚価値」を消費者の頭の中に刷り込むことができれば、市場で優位に立てます。
 一方で企業にはブランドに対する誤解もあります。
 それがこの3つです。
 ブランディングにおいて、マス広告やCIの変更はマストではありません。
 私が担当している案件も8〜9割はマス広告も打たなければ、CIを変えることもありません。
 実際にマス広告にほとんど頼らず、市場で圧倒的な存在感を放っている企業があります。それが、あのスターバックスです。
 第2話では、スターバックスのブランディングの例をご紹介しながらブランディングに対する理解を深めていきましょう。

ブランディングの極意を学び尽くす

 「明日から使える ブランド戦略バイブル」では、第2話以降でその内容を詳細に解説する。
 第2話以降のタイトル、内容は以下のとおり。
 ブランドを築くある方程式がある。
 それは、「体験の魅力度」、「体験の量」、「一貫性」の掛け合わせだ。しかし、この掛け合わせを実現するのは容易ではない。
 それでは、なぜブランドを構築する必要があるのか。山口氏が3つのメリットを紹介する。
 ブランドの知覚価値は5つの階層で構成されている。
 それは、「ブランドターゲット」、「インサイト」、「コアバリュー」、「ベネフィット」、「エビデンス」だ。
 その中でも「ブランドターゲット」の選定は議論になりやすいという。なぜブランドターゲットが議論になりやすいのか、BMWを例に挙げお伝えする。
 ターゲットの本音を突き、顧客がお金を出したくなるインサイトーー。
 山口氏は「チャンス」と「リスク」が鍵になると断言する。果たして、その真意とは。
 ブランド構築の指標の一つとなる「指名買い」。
 それを実現するには「まずはニッチを目指すべき」と山口氏は言い切る。
 ニッチから王者に駆け上がるブランド構築術が明かされる。
 「社内で事前に”合意形成”が得られていないと、意見がバラバラになりブランド構築が困難になる」。
 山口氏はこう指摘した上で、ブランド戦略を司る「クロスファンクショナルチーム」の創設を提案する。
 本講義ではブランド戦略を成功させるチームビルディングと経営層とのコミュニケーションについて伝授する。
 「ブランディング」と「販促活動」、一見相反するように見えて両者は車の両輪のように機能させられるという。
 その典型的な事例があの「ユニクロ」だ。
 ユニクロが実践するブランディングと販促活動のベストプラクティスとは。
 「ブランド価値の源泉は『モノ』だけではない」
 山口氏はiPhoneを例に挙げ、現代のブランド価値に欠かせない2つの要素に触れる。
 果たして、モノ以外にブランド価値を構成するとは何か。
 ブランディングに欠かすことができない広告代理店。
 しかし、一歩間違えると丸投げ状態になってしまい、自社のブランドを思い通りに構築できないリスクもある。
 第9話では自社と広告代理店の棲み分けについて解説する。
 「事業戦略」、「ブランド戦略」、「マーケティング戦略」。
 企業にとって戦略は切っても切り離せないものだ。
 しかし各々の戦略の違いを明確に認識していない企業もあるかもしれない。
 最終話は戦略の立ち位置と日本企業が「戦略牽引型」の組織に移行する必要性を山口氏がお伝えする。
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