[ワシントン 12日 ロイター] - 自動車大手はトランプ大統領が今週、欧州連合(EU)と日本から輸入する自動車および自動車部品に関税を発動するかどうかの判断を再び先送りすると見込んでいる。業界関係者5人がロイターに語った。

米政府は「通商拡大法232条」に基づき、安全保障を理由に輸入自動車・部品に最大25%の追加関税を課すかどうかを11月14日までに判断することになっていたが、期限を延期すると週内に発表するとみられる。海外の自動車メーカーはトランプ政権に対し、対米投資の実績を強調するとともに、追加関税は米国内の雇用喪失につながると訴えてきた。

ロス米商務長官は先週、自動車関税の発動が不要になる可能性に言及。複数のEU当局者によると、トランプ氏は判断の期日を6カ月間延期するとみられている。トランプ氏は5月にも判断を6カ月間延期している。

複数の業界関係者によると、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表の事務所は最近、多数の外資系自動車メーカーに対し、過去の対米投資の実績を提示するよう要請したという。

ホワイトハウスとライトハイザー氏の事務所はコメントを控えた。

トランプ氏に近いビル・リー・テネシー州知事は13日、独フォルクスワーゲン(VW)<VOWG_p.DE>が同州の都市チャタヌーガに建設する組立工場の起工式に出席する予定。8億ドルを投資して米国内の拠点を拡張し、1000人を新規に雇用する計画の一環。VWは1月に、2022年までに同州で電気自動車(EV)の生産を開始すると発表している。

独ダイムラー<DAIGn.DE>もまた、2017年終盤に、米アラバマ州の生産拠点を10億ドルを投じて拡張する計画を明らかにしており、600人以上の雇用が生まれる見通し。

一方、専門家などによると、日本産の自動車に対して追加関税が課される可能性はEU産よりもさらに低い。

日本の自動車大手や部品メーカーは多額の対米投資計画を公表してきた。最も注目を集めたのはトヨタ自動車<7203.T>とマツダ<7261.T>が16億ドルを投じてアラバマ州に新設する合弁新会社の工場だ。

安倍晋三首相とトランプ大統領は9月に貿易協定の締結で合意し、合意文書に署名した。日本から米国に輸出される自動車と関連部品の関税撤廃については協議継続となったが、安全保障を理由とする自動車への追加関税は、貿易協定が誠実に履行されている間は発動されないと安倍首相が大統領に確認している。