[フランクフルト 12日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は12日、ユーロ圏の銀行がECBの導入した金利階層化を活用しており、すでに国境を超えた余剰流動性の取引が行われていると指摘した。

専務理事は講演で「2層システムの導入初日に余剰流動性のかなりの再配分が見られた。流動性が豊富なベルギー、ドイツ、オランダなどから、枠を使いきれないイタリアなどに資金がシフトする動きが目立った」とした上で、イタリア銀の余剰流動性は初日に500億ユーロ程度拡大したと説明した。

専務理事は、銀行が階層化のメリットを完全に享受するには、1兆ユーロ超の余剰流動性のうち3分の1前後を銀行間で取引する必要があるほか、約300億ユーロは国境を超えた取引が必要になると述べた。

資産別では国債などの資産を担保とした取引が最も伸びていると指摘。同時にイタリアはすでに機会を最大限に活用しているが、その他の国々は流動性に苦慮するなど、資金の再分配には依然むらがあると認めた。その上で、ECBは資金供給や低金利政策の長期的な継続や、域外の銀行からも預金を受け付けるといった政策の導入を強いられる可能性があるという考えを示した。

*内容を追加しました。