[東京 7日 ロイター] - 麻生太郎財務相は7日、参院財政金融委員会で、財政政策と金融政策の一体運営について「財政と金融が一体でなければならないというのは当たり前の話だ」と述べた。その上で、物価上昇に向け「日銀と一緒に、きちんとした対応を今後ともやっていく」と語った。

渡辺喜美委員(みんな)の質問に答えた。

渡辺委員は低金利の間に積極的に財政出動をすべきと主張している。

これに対して、麻生財務相は「金利が低い状況を生かして財源を調達して積極的に財政出動すべきという主張は間違っていない」と理解を示しつつも、「公的債務残高がGDPの約2倍になっているにもかかわらず金利が上がらないという幸運な時代にわれわれはいるが、このまま永久にいけるかというと極めて疑わしい」と指摘。「市場の信頼を得るために、じゃんじゃん(国債発行を)野放図にやった場合に、ある日突然マーケットの信頼がなくなるということだけは避けたい」と述べ、財政健全化とのバランスが重要との認識を示した。

一方、日銀の黒田東彦総裁は、世界的な低金利について、自然金利が趨勢的に低下してきたことが背景にあるとした上で、世界経済を巡る不確実性の高まりと多くの国における緩和的な金融政策がさらに金利水準を押し下げているとの見方を示した。

日銀は2016年9月に導入した長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)政策の下で国債を買い入れているが、足元ではその買い入れ額は減少している。YCC導入の背景に国債の品不足があるのではないかという渡辺委員の見方に対して、黒田総裁は「物価安定の目標の実現には実質金利の低下が有効だと判断し、イールドカーブ・コントロールという新しい枠組みの中でそれを実現することが適当と考えた。国債の品不足が背景ということではない」と否定した。

(志田義寧 編集:内田慎一)