[ワシントン 1日 ロイター] - 米労働省が1日発表した10月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から12万8000人増加した。自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>のストライキの影響で、伸びは前月から鈍化したものの、市場予想の8万9000人増を上回った。

8・9月分の雇用者数も計9万5000人上方改定され、個人消費が引き続き景気の下支えとなる可能性を示唆した。

失業率は3.6%と、約50年ぶりの低水準となった前月の3.5%から悪化。ただ、労働力人口の増加を反映している可能性がある。

時間当たり平均賃金は0.2%(6セント)増加。9月は横ばいだった。10月の前年同月比は3.0%増だった。2月には前年同月比で3.4%増とピークに達した。

PNCファイナンシャルの首席エコノミスト、ガス・フォーシャー氏は「貿易戦争が長引いたとしても、米景気拡大は少なくとも来年上期まで継続する見通しだ。今回の堅調な雇用統計は、米連邦準備理事会(FRB)が今年3回の利下げ後、短期的に金利を据え置く公算が大きいことを意味する」と述べた。

10月は製造業部門の雇用者数が3万6000人減と、2009年10月以来の大幅な落ち込みとなった。GMのストの影響で、製造業のうち自動車産業の就業者は4万1600人減少した。

GMのミシガン州とケンタッキー州の工場で実施されたストには約4万6000人が参加。ストは10月25日に収束したが、スト期間中無給となった従業員は失業者として扱われる。

政府部門の就業者数も3000人減。2020年の国勢調査に向けた2万人の一時雇用が終了したことが背景。

建設業は1万人増加。しかし、1月に5万6000人増加して以降、減速している。

GMストや政府の臨時雇用終了の影響を除くと、10月の雇用者数は約19万人増だったとエコノミストは試算する。

しかし、ストを除いても雇用の伸びは今年鈍化している。雇用者数の伸びは月平均で16万7000人増。昨年の平均は22万3000人増だった。16カ月近く続いている米中貿易摩擦によって設備投資が低迷していることが、雇用鈍化の要因として指摘されている。

前月発表された第3・四半期国内総生産(GDP)は年率で1.9%増と、第2・四半期の2.0%増から減速した。米中貿易摩擦を背景に設備投資が一段と縮小した。ただ、個人消費が設備投資低迷の打撃を幾分和らげた。

労働参加率(生産年齢人口に占める働く意志を表明している人の割合)は63.3%と、前月の63.2%から上昇。同時に、現在は職を探していないが働く用意のある人(縁辺労働者)や正社員になりたいがパートタイム就業しかできない人を含む広義の失業率(U6)は7%と、前月の6.9%から悪化した。

FRBは10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で今年3回目となる利下げを決め、7月以降続けている利下げの打ち止めを示唆した。設備投資の低迷が個人消費の押し上げ要因である労働市場へ波及するとの懸念がある中で、パウエルFRB議長はこうしたリスクはないと述べ、労働市場は底堅さを保っているとの見方を示した。