【プレスリリース】硫化水素の産生過剰が統合失調症に影響 -創薬の新たな切り口として期待-
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硫化水素という、火山性ガスに含まれる無機分子が、この様な繊細な神経作用のために体内で産出されていて、そのバランスが崩れる事が統合失調症にも影響を及ぼしているというのは面白いですね。
しかもエピジェネティックということで、必ずしも遺伝的に決まっているわけではなく、胚発生時の環境が効いている可能性がある。
これ一つが統合失調症の原因と言えるわけではありませんが、興味深いアプローチだなと思います。「持続的な硫化水素の産生過剰が生じる原因は脳発達期の炎症・酸化ストレスに対する代償反応の一環である可能性、そのメカニズムとしてエピジェネティック変化が根底にあることを明らかにしました。なお、硫化水素の産生過剰は、エネルギー代謝の減少、スパイン密度の低下などを引き起こし、それらが統合失調症のリスクにつながることも示しました。」
「硫化水素がエネルギー産生系やシナプスに与える分子メカニズムの詳細は現段階では不明ですが、可能性の一つとして、イオウが関連タンパク質のシステイン残基に付加されて、タンパク質の機能が変化すること(サルファイドストレス)が考えられます。」
「脳の発達期(胎児期~周産期)に、微細な侵襲(酸化・炎症性ストレスを引き起こす)を受けると、脳では逆の代償的な抗酸化反応(還元反応)が生じ、還元反応の一環として硫化水素(抗酸化作用を持つ)やその派生分子であるH2Snの産生が亢進し、その亢進はゲノムDNAのエピジェネティック変化によって"通奏低音"のように生涯持続すると思われる(サルファイドストレスあるいはイオウストレス)。これに対して、酸化炎症反応は、脳の発達期以外では統合失調症の発症期、症状の活動期など、病相依存的なものである可能性がある。」
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専門的なことは分からないのですが、「脳発達期の炎症・酸化ストレス」って、社会的には人間関係や出来事へのストレス体験に相当するのですかね。
統合失調症になるか、鬱病になるか、双極性障害になるかが、環境要因だけで決まるとも考えにくいので、遺伝的な要因と、発達的な要因が関係するのでしょうから、原因は何とも言えません。事後療法でも、薬で軽減できるなら救われるものもあります。