[イスタンブール 25日 ロイター] - 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは25日に公表した報告書で、紛争が終結していないにもかかわらずトルコがシリア北部に設ける「安全地帯」にシリア難民を強制的に移動させていることを明らかにした。

別の国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)」もこの日に公表した報告書で、当局が1月から9月までの間に当局が多くのシリア難民を強制的に拘束し、国外退去させたことを明らかにした。

トルコ国内には現在、内戦を逃れた360万人近いシリア難民が居住。トルコ政府はこうした難民のうち最大200万人をシリア北東部に設ける安全地帯に移住させる考えで、これまでに35万人を超える難民が自主的にシリアに戻ったとしている。

ただアムネスティは、自主的にシリアに戻るとする書類に署名するようトルコ警察に強要されたと難民から訴えがあったと報告。「戦争地帯に強制的に送還することで、トルコはシリア難民の生命を危険にさらしている」とした。

トルコ外務省の報道官は同日、トルコは国際法に従い難民に対するあらゆる責任を果たしていると指摘。報告書の主張を「虚偽かつ想像上のもの」とした上で、国際社会はシリア難民の安全な送還促進に向け積極的に取り組む必要があると述べた。

トルコとロシアは今週、シリア北東部のクルド人民兵組織「人民防衛部隊(YPG)」をトルコ国境から30キロ、シリア側に離れた地点まで退去させ、退去後の「安全地帯」を共同で警備することで合意。トルコ内のシリア難民が「安全で自主的に」シリアに戻れるようにするとした。

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