[ブリュッセル/ロンドン 20日 ロイター] - 欧州連合(EU)は英国のジョンソン首相が要請したEU離脱期限の再延長について、決断を急がず、英国の状況を見極めるため時間を稼ぐ構えだ。複数の外交官が20日、明らかにした。

英下院は19日、ジョンソン首相がEUと合意した離脱案について、関連法案が成立するまで採決を先送りにする動議を可決。これにより、同日中に離脱案に対する議会の承認が得られなくなり、首相は、合意なき離脱反対派が9月に成立させた法律に従い、来年1月31日までの離脱延期をEUに書面で要請することを余儀なくされた。

英国を除いたEU加盟27カ国の大使による20日の会合では、ジョンソン首相との合意案を欧州議会に送付し、承認を求めることが決まった。

ある外交官は「今週中に事態がより明確になるのを待っている。同時にロンドンでの動きも見極められるだろう」と語った。

別の関係者は、20日の会合は非常に簡潔で、質問も議論もなかったと語った。

EUのトゥスク大統領は19日、ジョンソン氏から離脱延期申請を受け取ったことを明らかにし、対応についてEU内での協議に「数日」かかるとしていた。

EUの議長国であるフィンランドのリンネ首相は20日、3度目となる離脱延期に同意することが「賢明」と述べた。

EU首脳は無秩序な合意なき離脱を避けたいため、離脱延期要請を拒否する可能性は低い。EUはジョンソン首相と合意した離脱案が最終的に英議会で承認されることを望んでいる。ジョンソン首相は数日以内に議会に離脱案を提示するとみられる。

EUのある外交官は「ボールは英議会にある。今後数日で事態がどう展開するか見極めたい」と語った。

複数の外交官は、英議会の動向で合意なき離脱が避けられない事態になりそうな場合、EUは介入する可能性が高いと指摘。EU首脳は来週末の緊急首脳会議で新たな離脱期限に合意する可能性がある。

EUとしては、新たな離脱期限は10月末の1カ月後、半年後あるいはそれ以上先と、選択肢は幅広い。

ゴールドマン・サックス<GS.N>は20日、英議会が離脱案の関連法案が成立するまで採決を先送りしたことを受け、「合意なき離脱」の確率を従来の10%から5%に引き下げた。

10月31日までのEU離脱が引き続き基本シナリオだとした上で、「離脱しない」確率は従来と変わらず25%、「合意ある離脱」の確率は従来の65%から70%に引き上げた。