[リュブリャナ 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーであるバスレ・スロベニア中銀総裁は20日、世界経済の状況を踏まえると、ユーロ圏において金融政策だけでなくマクロ経済政策を講じる必要があるとの認識を示した。

総裁は国際通貨基金(IMF)と世界銀行の会合に出席後に声明を発表し、通商摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感、中国経済の減速など、世界経済が想定よりも急速に減速するリスクがあるとIMFは認識していると説明した。

現在の経済状況は、より長期にわたる低金利や、高水準の流動性と緩和的な資金調達環境が続くことを示しているとし「長期に及ぶそうした状況での金融市場参加者の行動は、一部の国、そしてユーロ圏全体の金融の安定を低下させる恐れがある」と指摘している。

総裁は声明で、金融市場での高過ぎるバリュエーションにより、金融面で脆弱(ぜいじゃく)な国を中心に、金融やマクロ経済の状況が突然悪化する可能性があると分析した。

年金基金や保険会社は、低金利を受けた利回りの低下で、より脆弱な状態にあるとし、銀行が関わる業務も高リスク資産にまで広がりつつあるとの見方を示した。

IMFはユーロ加盟国に対して、公共投資などの財政出動で景気を支援する一方、財政出動の余地がさほどない国は財政状況を段階的に改善するとともに、潜在成長率引き上げに向けて労働市場などの改革を行うよう促していると説明した。

声明は「ECB同様にIMFは、ユーロ圏の低インフレを押し上げるためには、金融政策だけでなく、他の政策措置を講じる必要があると強調している」と指摘した。