[ワシントン 18日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は18日、米中貿易摩擦や中国の需要低下がアジア地域に悪影響を及ぼしているため、アジア各国は経済見通しに対するリスクの高まりに直面しているとの見方を示した。

IMFは15日に発表した世界経済見通し(WEO)で、アジア太平洋地域の経済成長率見通しを2019年で5.0%、20年で5.1%と、世界金融危機以降で最も低い伸びに引き下げた。

IMFの李昌鏞(イ・チャンヨン)アジア太平洋局長はIMFと世界銀行の会合の記者会見で、「世界的な政策の不確実性と主要な貿易相手国の成長鈍化からの逆風が製造業や投資、貿易、成長に悪影響をもたらしている」と指摘。「リスクは下方向に傾いている」とし、アジア地域の政策当局者に対し成長促進に向けた短期的な財政・金融政策に焦点を当てるよう求めた。

また「米中間の通商面での緊張激化が信頼感や金融市場を一段と圧迫し、貿易や投資、成長を弱める可能性がある」と言及。アジア各国の多くが有するサプライチェーンは中国と密接に結びついているため、中国経済成長の予想を上回る減速もアジア地域にマイナスの波及効果をもたらすとした。

IMFは貿易摩擦や過剰債務に対応するための規制厳格化による影響を指摘した上で、中国の経済成長率見通しを19年で6.1%、20年で5.8%に引き下げた。