[ワシントン 16日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)高官は16日、米中貿易摩擦が世界経済に対する著しいリスク要因で、新興国市場に「波及による現実的な影響」が及ぶ恐れがあるとの認識を示した。

IMFのトビアス・エイドリアン金融資本市場局長は、米中の貿易戦争が過去2年間、金融市場に著しい影響を及ぼしてきたと述べた。別のIMF高官も、経済規模の小さな国々に「ドミノ効果」を引き起こす恐れがあると指摘した。

エイドリアン氏は「貿易を巡る緊張は不透明性および下方リスクの重要な原因」で「新興国市場に影響が波及する」とし、貿易問題の解消に向けて連携するよう世界の政策担当者に呼び掛けた。

IMFの首席エコノミスト、ギータ・ゴピナート氏は、米中の通商問題を巡る部分的な合意を歓迎。両国が10月と12月に追加関税を導入すれば世界的な経済成長は0.8%下押しされるが、両国が共に追加関税の導入を控えれば下押し効果は0.6%にとどまるとの見方を前日に示した。

このほかIMFの財政問題担当ディレクターのビクター・ギャスパー氏は、中国がここ数カ月間、通商問題による影響の緩和に向け財政措置を実施していると指摘。「消費者の購買力を押し上げることで、輸出から内需に、投資から消費に成長の軸足のシフトが進む」とし、「中国の経済成長モデルの再均衡化に向けた財政政策の貢献を歓迎する」とした。

IMFは15日に発表した世界経済見通し(WEO)で2019年成長率を3.0%に下方修正し、08―09年の金融危機以来の低い伸び率になると予想した。貿易摩擦が解消されなければ見通しは大幅に悪化する可能性があると言及した。

*内容を追加しました。