[ウェスタービル(米オハイオ州) 15日 ロイター] - 2020年米大統領選の候補者絞り込みに向けて野党民主党が15日開いた討論会で、支持率を伸ばしているエリザベス・ウォーレン上院議員が、医療保険制度や税制を巡り他候補から批判の集中砲火を浴びた。

民主党内の急進派勢力の中心的な存在であるウォーレン氏は過去2カ月間で支持を着実に伸ばしており、最近の幾つかの世論調査で、これまでトップを走ってきたバイデン前副大統領と実質的に互角となった。2強となってから初めて開かれた討論会で、ウォーレン氏は繰り返し、低支持率にあえぐ他候補の標的となった。

ブティジェッジ・インディアナ州サウスベンド市長とエイミー・クロブチャー上院議員は、ウォーレン氏が掲げる国民皆保険制度について、詳細が曖昧なままで、増税を伴うことが明示されていないと指摘。

クロブチャー氏は「米国民に費用をどう賄うのかを明示すべきだ」と強調。「計画と机上の空論の違いは分かっているはずだ」とした。

ブティジェッジ氏はウォーレン氏に対し、「あなたの売りは、全てに関して計画を持っているということだが、国民皆保険は例外だ」と述べ、詳細な計画や財源をどのように確保するかを説明していないと批判した。

一方、ウォーレン氏は批判にひるまず、所得格差を解消し、労働者に公正な競争環境を整えるという自身の公約を説明。

中間層世帯の増税につながるいかなる法案にも署名することはないとし、自身や同じく民主党の指名獲得を目指すバーニー・サンダース上院議員などか提唱する国民皆保険制度「メディケア・フォー・オール」は一般国民の負担減につながると主張した。

「私は自分の信念を明確にしてきた。つまり、富裕層や大手企業の負担は増えるが、勤勉な中間層世帯の負担は低下するということだ」と述べた。

サンダース氏は、メディケア・フォー・オールの下では「税金が増えると認めるのが適切」とコメントした。

民主党候補による討論会は、下院民主党がウクライナ疑惑を巡りトランプ大統領の弾劾調査を開始して以降で初めて開かれた。

弾劾調査では、トランプ大統領がウクライナ政府にバイデン氏やその息子に関する疑惑の調査を依頼したことが、再選を視野に外国政府の選挙介入を求めて圧力を掛けた行為に該当するかどうかが焦点となっている。

バイデン、サンダース両氏はともに、トランプ氏は「歴史上で最も腐敗した大統領」と痛烈に批判。

バイデン氏は「私も息子も全く不正は行っていない。ウクライナの腐敗根絶という米政府の政策を実施したという事実が認められるべきだ」と強調。「トランプ氏を罷免することがいかに重要かの認識を強める必要がある」と続けた。