[シドニー 15日 ロイター] - 豪準備銀行(中央銀行、RBA)は15日、今月開催された理事会の議事要旨を公表した。世界経済見通しの弱さや、抑制された国内インフレ、労働市場のかなりの余剰能力などが利下げの決め手になったことが分かった。

議事要旨では、豪中銀が景気支援とインフレ目標の達成に向け、追加利下げを検討する用意があることも明らかになった。

豪中銀は6月に現在の緩和サイクルを開始した。10月の理事会では今年3回目となる利下げを決定。政策金利のオフィシャルキャッシュレートを1.00%から0.75%に引き下げた。[nL3N26M1BW]

金融市場では来月に追加利下げが実施される確率が40%織り込まれ、2020年初めまでの実施はほぼ確実視されている。

議事要旨によると、中銀は将来のネガティブショックで政策を巻き戻す必要性が生じる可能性や、これまでよりも金融緩和の効果が薄れている可能性など、利下げを実施しない根拠についても幅広く議論した。

資産バブルの形成も、低金利がもたらすリスクだ。

議事要旨は議論の結果、「理事会メンバーはこれらのさまざまな要素が、今回の理事会での追加緩和の根拠を上回るものではないとの結論に至った」と指摘。

「利下げは、雇用と賃金の伸びを支援し、インフレが中期目標に合致するとの信頼を高めることで、経済における余剰能力の削減につながると判断した」としている。

豪中銀はまた、フォワードガイダンスを繰り返し、「完全雇用とインフレ目標の達成には長期にわたる低金利が必要になると予想するのが妥当」とした。

利下げは、豪ドルを10年ぶり低水準に維持する上で効果的に機能しており、輸出セクターや鉱業セクターを支援しているとも指摘した。

長期化している米中貿易戦争を巡る懸念も表明した。

国内問題では、労働市場の余剰能力について議論。直近の中銀予想では今後数年にわたり、失業率とインフレが目標に届かない見通しであることに言及した。

国内のレバレッジの問題については、家計の可処分所得が抑制されていることや、銀行の厳格な融資基準を踏まえると、借り入れ能力はなお弱く、現時点でレバレッジリスクは限定的と指摘。その上で「このリスクを注意深く監視することが正当化される」とした。