さまざまなベンチャー企業の本社オフィスを手がけたNYのデザイン会社、Float Studioの創業者たちが、優れたオフィスデザインのヒントを教えてくれた。

会社が目指す方向性を形作る役割

巧みにデザインされたオフィスを作ることは、単に従業員の働く場所を素敵なものにするだけでなく、会社やブランドの方向性やイメージを決定づけるのにも役立つ。
優れた空間づくりに絶対の正解はないのだが、現在センスの良いオフィスを構えているスタートアップの多くが取り入れているデザインの原則には、いくつかの共通点がある。
ニューヨークのデザイン会社、Float Studioの共同設立者であるニナ・エトニアとブラッド・シャーマンから、オフィスデザインのトレンドについて話を聞いた。
同社は、マットレスECのCasper、ソックスブランドのBombas、メンズアパレルのBonobosといった企業の本社オフィスをデザインして「刷新」してきたデザイン会社だ。
それでは、二人が教えてくれたオフィスデザインのポイント4つを紹介しよう。

1. フレキシブルに使えるようにしておく

オフィスの賃貸契約期間がまだ残っているのに従業員の数が増えたり、チーム編成が変わったり、働き方を少し調整したりといったことが発生しうる。変化に対応できるような空間設計にしておくことは、極めて重要なポイントと言えるだろう。
「元々はオープンラウンジ・スペースや、スタンディング・ワークエリアとして機能していたところが、最終的には普通のオフィスになる、ということもあり得ます」と、シャーマンは言う。
フレキシブルなオフィスデザインによく使われるのが、可動式のパーティションだ。「自分たちがどんな会社なのか、どんな働き方をするのが一番いいのかを見出そうとしている若い企業の場合、オフィスの柔軟性が非常に重要になってきます」

2. 共有スペースは手を抜かない

従業員はほとんどの仕事を自分のデスクで行うとはいえ、共有スペースのデザインを適当にしていい、ということにはならない。会議室であれ、廊下であれ、オフィスのあらゆる場所が、会社そのものの設計構想に影響する可能性がある。
「みんなが実際に座って仕事をしている場所の『間』にある空間にこそ、会社のカルチャーやブランドを表現し、素晴らしいデザインを実現するチャンスがあります」とエトニアは語る。しかも、素敵な共有スペースは、オフィスの人たちを集める「磁力」になるという。
「共有スペースは、プレゼンや全社でのミーティング、催し物などにも使えます。また、会社を訪れた人や投資家などに、自社の特性や自社を動かしているものを素早く理解してもらうのに役立つでしょう」

3. 照明も重視する

照明デザインに力を入れても、従業員は気づいてくれないかもしれないが、やはり照明は重要だ。頭上に取り付けた照明を一日中、目いっぱい灯しておくのは、今のオフィスに求められているやり方とはいえない。
「オフィスエリアは明るくしておきたいものですが、目が疲れるのは困ります。壁に取り付ける間接照明器具を使うなどして、明るさを落としたほうがいい場面もあります」と、エトニアは言う。「無粋で光がチラつく蛍光灯を使う時代は終わりました」

4. 住まいのような雰囲気を取り入れる

在宅勤務を認める企業が増えるなか、オフィスデザインも、より快適で、いかにも職場っぽい雰囲気を抑えた方向にシフトしている。
「自分が仕事する場所は、家のような雰囲気であってほしいと思う人が増えています。そういう思いから、多様性の感じられる、より居心地の良い空間が生まれているのです」とシャーマンは述べた。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Graham Winfrey/Senior editor, Inc.、翻訳:半井明里/ガリレオ、写真:alvarez/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.