「サブスク」茶園の仕掛人、ツーリズムで過疎地を変える

2019/10/19

次々と現れる外国人

こんにちは~。何度か呼び鈴を押して声をかけるが、反応がない。さて、どうしよう。
僕は、「茶」というマークが掲げられている2階建ての立派な一軒家の前にいた。もう一度呼びかけると、ガタガタッと音がして、家の奥から白人の男性が出てきた。
玄関で「どうも、取材をお願いしている川内という者ですが、松本さんいますか?」と尋ねると、「マツモトサン、ココニ、イマセン」とたどたどしい日本語が返ってきた。
あれ、なんでだろうと首をひねっていたら、僕らの会話が聞こえたのか、隣の家から、白人の女性が顔を出した。「マツモトサン、ジムショデス!」
彼女の指先は、一軒家のすぐ前に立っている、古い木造の建物を指している。「ありがとうございます」と頭を下げ、そちらに向かう。
横開きのガラス戸をガラガラと開け、こんにちは~と言うと、今度は浅黒い肌をした外国人の女性が「ハイ?」と出てきた。
松本さんの取材に来たと告げると、しっかりとした日本語で、「連絡しますので、こちらへどうぞ」と2階の個室に案内される。
その部屋のソファに腰かけながら、僕は静かに興奮していた。京都の和束町にあるおぶぶ茶苑を訪ねてきてから、外国人としか顔を合わせていないことに。

「茶源郷」の異端児