[東京 11日 ロイター] - 日銀が11日に発表した9月の「生活意識に関するアンケート調査」(第79回)によると、1年後の景況感が「悪くなる」と予想する人が増え、「良くなる」から「悪くなる」を引いた先行きの景況感DIはマイナス41.7と景気後退期だった2008年12月調査(マイナス47.9)以来の低水準となった。

現在の景況感DIもマイナス26.0に落ち込み、2016年6月調査(マイナス27.3)以来の低水準となった。悪化は5四半期連続。日銀によると、夏のボーナスがあまり良くなかったことや調査期間中に株安が進んだことが影響した可能性があるという。

アンケートは8月8日から9月3日にかけて全国の満20歳以上の個人4000人を対象に実施した。有効回答者数は2028人で、有効回答率は50.7%だった。

<増税前の前倒し支出は37%>

今回のアンケートでは、消費税率引き上げの影響についても聞いた。税率引き上げ前に前倒しで支出したものが「ある」と答えた人は37.0%、「ない」は61.3%だった。前回増税前のタイミングで行われた調査(2014年3月)は「ある」は40.8%、「ない」は58.2%で、前回ほどは駆け込み需要が広がらなかった可能性がある。

前倒しで支出した商品・サービスは「家電」が45.7%でトップで、以下、日用品(洗剤、雑貨等)、自動車と続いた。

消費税引き上げ後の支出への影響では、「支出を控える」「支出をやや控える」が68.0%にのぼった。ポイント還元制度が利用可能な店舗等での支出については、「増やす」「やや増やす」が49.6%、「増やさない」は48.9%とほぼ拮抗している。

<1年後の物価「上がる」小幅低下>

物価予想については、1年後の物価が「上がる」と予想する人は79.8%となり、前回6月調査の80.5%から小幅に低下した。数値予想は平均値が4.5%上昇(6月調査は4.6%上昇)、中央値は3.0%上昇(同3.0%上昇)だった。

5年後については「上がる」が85.9%となり、6月調査の83.4%から上昇した。「かなり上がる」は28.7%から25.8%に減少したものの、「少し上がる」が54.7%から60.1%に上昇したことが影響した。毎年の変化率予想は平均値が4.0%上昇(6月調査は4.2%上昇)、中央値が2.0%上昇(同2.0%上昇)だった。

日銀は2%の物価安定目標の実現には家計や企業のインフレ期待の高まりが重要と位置づけており、同アンケートは家計のインフレ期待の動向を把握する指標のひとつとなっている。

*内容を追加しました。

(志田義寧 編集:青山敦子)