[東京 8日 ロイター] - 内閣府が8日に発表した9月の景気ウオッチャー調査は、増税前の駆け込み需要が後押しし、景気の現状判断DIが前月比3.9ポイントの大幅上昇となった。プラスは2カ月連続。DIは46.7で昨年12月以来の水準に上昇したが、好不況の節目である50の水準は下回った。前回の増税前14年3月の54.1と比べると足元の水準は低い。先行き想定される反動減も、前回ほどの落ち込みにはならない見通し。

現状判断DIは、企業動向関連と家計動向関連が上昇、雇用関連が低下した。

小売業や飲食、サービスなど家計関連は4.9ポイントの大幅上昇。「増税前の買い込みで、日用品、酒がよく売れている」(北海道・スーパー)といった声や「税率改定の関係で、印刷物の受注が増加している」(近畿・出版・印刷)などの声がある。また、「化粧品、婦人冬物衣料の前倒し購入や、宝飾や時計の高額品が売り上げを伸ばしている」(北陸・百貨店)という。

他方、企業動向関連でも、製造業・非製造業ともに上昇。

製造業でも一部に駆け込み需要の声もあるが、全般にはさえないようだ。「受注量、販売量は本来なら季節要因で平常時より10%ほど上向く月に入っているが、現状はかろうじて平月並み。実質10%程の落ち込み」(東海・鉄鋼業)だといい、海外経済減速の影響を受けているところもある。

雇用関連は1.0%低下。「求人をけん引する製造業で、受注見通し不安が続き、求人減が顕著」(甲信越・民間職業紹介機関)などの動きがある。

2─3カ月先を見る先行き判断DIは36.9で、前月比2.8ポイント低下。3カ月連続の低下となった。先行きは大きく悪化する見通しだが、米中摩擦の影響や、増税による心理的な影響などが原因となっている。

もっとも前回増税時直前の14年3月における先行き見通しは33.5まで低下しており、今回はそこまでの落ち込みには至らなかった。

内閣府は、景気ウオッチャー調査の判断の表現を「このところ回復に弱い動きみられる」で据え置いた。その上で、「なお消費税率引き上げに伴う駆け込み需要が一部にみられる」と付け加えた。