[ロンドン 8日 ロイター] - 英政府は今週中に欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る交渉を終了する準備を進めている。スペクテイター誌が7日遅く、首相官邸筋の話として報じた。協議が決裂した場合、安全保障上の協力停止をちらつかせて、EUが離脱延期を認めないよう強気の姿勢で臨むという。

10月末の離脱期日まであと3週間あまりとなったが、ブレグジットの行方は依然不透明。

ジョンソン首相が今月示した離脱協定案の「最終案」に対するEUの反応は冷ややかで、外交筋からは、協議は続いているが10月末までに合意が成立する可能性は低いとの声がでている。

アイルランドのバラッカー首相は協議を望んでおらず、マクロン仏大統領とメルケル独首相も、アイルランドが交渉に応じる意向を示さない限り、英国の提案についてEUに協議を促す可能性は低いという。

スペクテイター誌によると、首相官邸筋は「交渉はおそらく今週中に終了するだろう」と発言。「パリとベルリンには(英国の)提案について協議したい人がかなりいるが、アイルランドが交渉したいと言わない限り、メルケル首相とマクロン大統領がEUのバルニエ首席交渉官に交渉を促すことはない」と述べた。

さらに「現政権はさらなる交渉をするつもりはなく、したがって離脱の延期はまったく的外れ」とし「10月31日に合意なく離脱するか、選挙を実施して合意なく離脱するかのどちらかになる」と語った。

前月のブレグジット巡る議会採決で造反して保守党を離党したラッド前年金相は、BBCラジオに対し、この首相官邸筋は首相上級顧問のドミニク・カミング氏との見方を示した。

スペクテイター誌によると、首相官邸筋は、EUが英国を残留させようとすれば、防衛・安全保障の協力に影響が及ぶと明言した。

10月19日までに離脱協定案が議会で承認されず、合意なき離脱も承認されなかった場合、ジョンソン首相はEUに離脱延期を申し入れなければならないが、ジョンソン氏は合意の有無にかかわらず10月末に離脱する姿勢を崩していない。

首相官邸筋は、政権が延期を阻止する可能性があるが、もし延期を強いられたら、即時の合意なき離脱を訴えて選挙を戦うとの考え。

EUが離脱延期を支持すれば、英政府は国内政治への敵対的介入とみなし「国民の半分強がわれわれに賛同するだろう」と述べた。

英首相官邸の高官は8日、ロイターに対し「EUが早期に合意をまとめなければ、われわれは合意なしに離脱する」と語った。

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