[ストラスブール/ブリュッセル 18日 ロイター] - 欧州委員会のユンケル委員長は18日、英国の欧州連合(EU)離脱が円滑に進むことを確実にする合意は依然として可能だとした上で、英国がEUとの合意がないまま離脱するリスクも「非常に現実的」との見解を示した。

ユンケル委員長はストラスブールでの欧州議会本会議で「残された時間はほとんどない。(英国のジョンソン)首相は、合意は望んでいるが、合意があってもなくても離脱すると表明している」と指摘。「合意なき離脱のリスクは非常に現実的だ」と述べた。

欧州議会はこの日、離脱協定案で合意できるための時間を確保するため、10月末の離脱期限を再度延期することを認める決議を賛成多数で採択した。決議に強制力はないが、EUの姿勢を示す政治的な意味合いを持つ。賛成は544票、反対は126票だった。

また、16日にジョンソン首相とルクセンブルクで会談したユンケル委員長は、英政府はアイルランド国境問題に関する 「バックストップ(安全策)」に代わる現実的な提案をしなければならないとの見解をあらためて表明。「私はアイルランドのバックストップに思い入れがあるわけではない」とした上で「(英国のジョンソン)首相に書面で代替案を出すよう求めた」と説明した。

英首相府は18日遅くに発表した声明で、バックストップの代替案を見つける取り組みを継続していることを示すため、ジョンソン首相はユンケル委員長と欧州議会議長と会談したと明らかにした。

ジョンソン氏の報道官は「首相とユンケル委員長は16日にルクセンブルクで前向きで建設的な議論を行い、合意達成に向けた決意を共有した」と説明した。

英EU離脱でEU側首席交渉官を務めるバルニエ氏は、合意なき離脱でもEU市民の権利やアイルランド国境、EU長期予算における英国の義務を巡る問題の多くが解決されないことになると指摘。「英国が合意なく離脱してもこれらの問題は消えず、依然として残ることになる」と述べた。

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