カリスマ経営者を失ったアリババとジャック・マーの今後
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中国の流通・小売業は、元来の計画経済の名残でサービスレベルが低く、そこにアリババなどの新興ネット企業が参入して社会イノベーションを起こした。
またキャッシュレスやビッグデータ取得は、中国政府としてのニーズにも合致したのだ。
しかし教育分野は、政府の統制が強い分野である。
中国の大学は、現在こんなに優秀な人材と設備が揃い、留学帰りの秀才も多くいるのに、大学の現場にイノベーションが起こらないのは、政府が強く関与し続けているからだ。
ジャックマーに期待はしたいが、教育分野は難しいのではないか。昨年9月、引退表明する直前のマー会長は、その一挙手一投足がニュースとなっていた。引用を含めれば、ほぼ毎日、ネットメディアに登場していた。抜群の発信力だった。
引退表明以後は、社内での権限移譲を進めるとともに、広報マン、インフルエンサーとしての出番も順次減らしていった。意図的に少しずつ縮小させたように見える。
アリババが巨大化したのは、2009年の独身の日セール開始とクラウド子会社・阿里雲の設立、2013年の、MMF・余額宝、小口金融・花唄の開始、物流子会社・菜鳥網絡の設立、と、2つの契機があった。そして2014年以降、本格化した中国の生活イノベーションを主導した。たった10年しか経っていない。
今後は、この10年で敷かれたレールを脱線しないよう走ることが重要になる。カリスマ創業者の仕事は終わった。この当たりの見極めもさすがの先見性、ということではないか。