【プレスリリース】自然界で最小の励起エネルギーをもつ原子核状態の人工的生成に成功-超精密「原子核時計」実現に大きく前進-
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時間の単位が変化するまでもう少し。
「自然界には約 3300 種以上の原子核が存在しますが、この中で最小の励起エネルギー(注 1)をもつ原子核がトリウム 229 です。この励起状態(アイソマー状態と呼ばれる)は、レーザーを用いて励起することができる唯一の原子核励起状態であり、これとレーザーを組み合わせることにより超精密時計(”原子核時計”、注 2)を実現することが可能となります。」
「岡山大学、産業技術総合研究所(産総研)、理化学研究所、大阪大学、京都大学、東北大学、ウィーン工科大学、高輝度光科学研究センター(JASRI)の共同研究グループは、世界で初めてアイソマー状態を人工的に生成することに成功しました。本方法は大型放射光施設(SPring-8、注 3)の高輝度 X 線を用いるもので、放射線の少ないクリーンな環境下でアイソマー状態を自在に生成できるという利点があります。」
「現在、セシウム原子の周期的振動を用いた原子時計に基づき、時刻・時間が決定されています。これに対しトリウム原子核の周期的振動を基礎にすると、より高精度な時計(“原子核時計”)を構築することができ、全地球測位システム(GNSS; Global Navigation Satellite System)や地殻変動の観測を始めとする測地学の進歩を可能にすると期待されています。」
「今後の目標は、アイソマー状態から基底状態への光遷移の観測です。これにより正確なアイソマー励起エネルギーの決定が可能となります。さらにはレーザーによる励起、高精度原子核時計の実現、物理定数の経年変化探索などを目指す計画です。」
別記事
https://mainichi.jp/articles/20190912/k00/00m/040/010000c