[ロンドン 11日 ロイター] - 英政府は11日、合意なき欧州連合(EU)離脱によって想定される最悪の事態を記した文書を正式に公表した。

この文書はジョンソン首相が就任してから9日が経過した8月2日付で策定され、同18日に英紙サンデー・タイムズが内容を報道。その後議会からの公表要請を、合意なき離脱の準備を担当するゴーブ国務相が受け入れた。

ゴーブ氏は同紙が伝えた時点では、古い内容で最新の準備状況は反映されていないと説明していた。11日も文書に盛り込まれた想定は現在見直されていると改めて強調したが、合意なき離脱後の完全な形の最悪シナリオとしてはこれが直近のものだと認めた。

文書では、合意なき離脱によって、英仏海峡の物流などが相当滞り、医薬品や生鮮食品の供給が不足するため、英国全土に買い占めや抗議活動などが発生して、社会的な混乱が広がりかねないと警告されている。

またEU離脱期限が迫っているのに政治的な不安定さが続いていることから、国民と企業の合意なき離脱に対する備えは進まない公算が大きいとの見通しが示された。

野党・労働党は、この文書で合意なき離脱の深刻なリスクが確認できると指摘。広報担当者は「政府がこれほどあからさまな警告を無視し、国民の目をそらそうとしているのは全く無責任だ。ジョンソン首相は合意なき離脱がもたらす結果について、国民に対する誠実さを欠いていると認めなければならない」と批判した。