[上海 9日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は9日、市場の予想に反してMLF(中期貸出ファシリティー)を通じた資金供給を見送った。当局は景気支援のために銀行による融資を促進する策を相次いで講じているが、金融システム内の過剰流動性は避けたい意図がうかがえる。

この日は1765億元(247億7000万ドル)のMLFが償還期限を迎えるため、実質的にロールオーバーするために1年物MLF経由で同額をさらに低い金利で供給すると予想されていた。

資金供給は見送られたが、市場参加者やアナリストの大半はなお、融資金利の低下を促す狙いで月内にMLF金利が引き下げられると予想する。米連邦準備理事会(FRB)が来週、利下げを行うと見込まれていることもそうした予想を後押しする。

交通銀行のエコノミスト、Tang Jianwei氏は資金供給見送りは「かなり予想外だった」と指摘。同氏は中国経済への下押し圧力が増していることから、MLF金利の引き下げも見込んでいた。

「(MLF)の利下げについては確信が持てなくなった。中銀は過度に積極的な金融緩和のシグナルを送りたくないのかもしれない」と述べた。

先物会社、華泰期貨のアナリスト、Xu Wenyu氏もまた、人民銀は過度に積極的な緩和姿勢を取っていると見なされるのを恐れているかもしれないと指摘。

「緩和策が円滑に波及するかどうかを見極めたい可能性がある。経済が第3か第4・四半期に安定すれば、過度な緩和は必要なくなる」と語った。

人民銀は前月、最優遇貸出金利であるプライムレート(LPR)をMLF金利に連動するように刷新した。MLF金利を引き下げれば広範な借り入れ金利の低下につながる可能性がある。

人民銀はまた、6日に今年3回目となる市中銀行の預金準備率(RRR)の引き下げを発表した。これにより、9000億元(1263億5000万ドル)が金融システムに放出される。預金準備率の引き下げは銀行間取引市場の金利に大きな影響を与えてきたが、企業向け融資の金利に対してはさほどの下げ圧力とはなっていない。

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