[北京 8日 ロイター] - 中国税関総署が発表した8月の貿易統計によると、同月の輸出は予想外の減少となった。米国向けが大幅に減速したことが響いた。輸入も4カ月連続の減少。米中貿易戦争が激化する中、中国経済の低迷が改めて浮き彫りとなった。

市場では追加の景気支援策が打ち出されるとの見方が多い。

8月の輸出は前年同月比1.0%減と、6月(1.3%減)以降で最大の落ち込み。ロイターがまとめた市場予想は2.0%増、7月は3.3%増だった。

市場では、人民元の下落で価格上昇圧力がある程度軽減されるとの見方や、対中追加関税の発動を控えて輸出業者が出荷を前倒ししたのではないかとの見方が多かった。

中海晟融資本管理のエコノミスト、チャン・イ氏は「大幅な元安にもかかわらず輸出は依然弱く、今年は外需の低迷が輸出に影響する最も重要な要因となっていることを示している」と述べた。

国別では米国向け輸出が前年比16%減と大きく落ち込み、減少幅は7月の6.5%から大幅に拡大した。米国からの輸入も22.4%減少した。

米国は10月1日と12月15日にも対中追加関税を発動する予定で、アナリストの間では今後輸出がさらに低迷するとの見方が多い。

8月は欧州、韓国、オーストラリア、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けの輸出も前年比で7月から悪化した。一方、日本や台湾向けは前月から伸びがやや加速した。

8月の輸入は前年同月比5.6%減。市場予想は6.0%減、7月は5.6%減だった。内需の低迷に加え、国際商品価格の下落が影響した可能性が高い。

8月の貿易収支は348億4000万ドルの黒字。市場予想は430億ドルの黒字、7月は450億6000万ドルの黒字だった。

8月の対米貿易黒字は269億5000万ドル。前月の279億7000万ドルから縮小した。

1─8月の対米貿易黒字は1954億5000万ドルと、米国のトランプ政権が問題視する貿易不均衡が続いている。

Morgan Stanley Huaxin Securitiesのチーフエコノミスト兼リサーチ責任者スティーブン・チャン氏は「世界経済はリセッション(景気後退)の岐路に近付きつつあり、外需がいっそう悪化するのは間違いない」との見方を示した。

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