体温環境でDNAが5000倍?!東北大が作製した人工細胞とは
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注目のコメント
公式のプレスでもそう表現されているので著者の方々のチェックも受けていると思いますが、こちらは、人工細胞と呼称すると誤解を招くのではないでしょうか。論文中ではそういう呼称は一度も使用されていませんし、論文タイトルを拝見してもそうなります。(見事に釣られてしまいました)
自律的に増殖するような生命体を人工細胞として目指している研究もあるので、混同しそうですね。
正確には単層膜に包んだ小胞(GUVs: giant unilamellar vesicles)の中で、入れておいたDNAの増幅を、常温で出来るようなシステムを構築したという感じです。
使われている材料(膜分子DOPC)や、反応に使う酵素はほかの技術ですでに使われているものを使用しており、まさに“構築”と言えると思います。
とはいえ、達成したことは面白く、あらかじめ狙った配列を検知してDNAを増幅し、さらに増えたら光る仕組みを組み込んでいます。
何に使えそうだと言っているかというと、局所で、常温で検出したいDNAを増幅して検出することが出来そうだということです。体外で使うとなれば、局所でも常温でもある必要はなく、圧倒的に感度が良い方法はいくらでも存在していますので、「局所(小胞)」「常温」の組み合わせを活かせるアプリケーションがあれば良いですね。
ただ、最初から実用化実用化言うのも個人的には面白くなく、このような系を構築したと言う研究自体はとっても好きですし、研究として価値がある事だと思います。
論文はオープンアクセスです。
Isothermal amplification of specific DNA molecules inside giant unilamellar vesicles
https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2019/cc/c9cc03277k
「巨大単層膜小胞の内部における特定 DNA 分子の等温増幅」
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20190820_01web_dna.pdf