[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 23日 ロイター] - マサチューセッツ工科大学(MIT)教授のアタナシオス・オルファニデス氏は23日、ワイオミング州ジャクソンホールで開催中の経済シンポジウムで講演し、連邦準備理事会(FRB)はトランプ米大統領の批判に対する防波堤として、金利決定の指針となる金融政策ルールを採用すべきと述べた。

オルファニデス氏は「体系的な金融政策の枠組みを明確に伝え、十分に理解されることは(トランプ大統領からの)脅威に対する防衛手段になる」と指摘。FRBが政策決定の裏付けとなる方程式を示すことができれば、大統領の圧力や政治的便宜により決定したとみなされなくなるとした。

FRB当局者はこれまで、経済危機時に政策自由度が不必要になくなる可能性があるとして、厳格な金融政策ルールの導入に反対してきた。FRBは現在、政策的枠組みの刷新に向け取り組んでいるが、7月のFOMC議事要旨で示された一連の議題には政策ルールの採用は含まれていない。

オルファニデス氏はトランプ氏が繰り返し利下げを要求し、FRBが利下げを決定した今こそ政策ルールを採用すべきと主張。「自由な裁量権は、政治的な干渉によって中央銀行の信頼性が損なわれ、独立性が脅かされるとの見方を招く可能性がある」とした。

またFRBの現在の政策戦略が過度に不明瞭であるため、金利を巡る決定の予測や理解を難しくし、経済に悪い結果をもたらす可能性があると言及。「金融政策は明確な金融政策ルールに従い、体系的な方法で策定された場合、最も効果を発揮する」とした上で、政策ルールを採用しガイダンスを簡素化すれば、経済指標が金利に与える影響を理解し易くなるとした。