[20日 ロイター] - 米国債市場では2年物と10年物の間で先週発生した長短金利の逆転(逆イールド)が解消、両年限のイールドカーブは急速にスティープ化し、投資家は米経済が景気後退(リセッション)を回避できるとの期待を抱いたかもしれない。しかし2年債/10年債で発生した過去3回の逆イールドを検証すると、今の逆イールド解消は一時的で、いずれもっと持続的できつい逆転が起きる可能性があることが分かる。

2年債/10年債の利回りは2006年2月にイールドカーブの一部が逆転。この状態が1カ月ほど続いた後、逆イールドはいったん解消した。その後、再び逆イールドが発生して3カ月ほど続き、それが07年5月まで続いた。

米連邦準備理事会(FRB)は当時、04年6月に開始した利上げサイクルの最終局面にあった。この一連の利上げでは最終的にフェデラルファンド(FF)金利が06年6月までに1.25%から5.25%に引き上げられた。

FRBは06年6月の連邦公開市場委員会(FOMC)声明で「総需要の緩やかな伸びが徐々にインフレ圧力を抑えるのに役立つだろうが、FOMCはインフレリスクがある程度残っていると判断した」と説明していた。

投資家の間にも、逆イールドが景気後退の前兆だという見方に否定的な声もあった。

2年債/10年債は1998年半ばにもイールドカーブの一部が短期間逆転し、その後2000年により持続的な逆転が発生。ハイテク株バブルが破裂して米経済は景気後退に陥った。

2年債/10年債は1988年12月から1990年5月にかけて、5回に分けて部分的な逆イールドが発生し、米経済は90年6月に景気後退に入った。

1970年代末から80年代初頭にかけての逆イールドは、当時のボルカーFRB議長が2桁のインフレを抑制するために通貨供給量を絞り、大幅な利上げを行ったのが主な要因だった。

今回は21日公表の7月連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や、23日のパウエルFRB議長のジャクソンホールでの講演が、FRBは利下げモード全開ではないことを示唆する内容ならば、今週末にかけて再び逆イールドに転じるきっかけが生まれるかもしれない。

エコノミストやFRB当局者が景気後退入りの指標としてより信頼度が高いとみている3カ月物財務省短期証券と10年国債の利回り逆転は5月以降継続している。3カ月物と10年物のイールドカーブは3月に逆転した後、4月にいったんスティープ化したが、その後再び逆転した。