[ベルリン 21日 ロイター] - ドイツのメルケル首相は21日、訪独したジョンソン英首相と会談を行い、英国の欧州連合(EU)離脱協定案の争点となっているアイルランド国境問題の解決策 「バックストップ(安全策)」について、30日以内に代替案を提示するよう求めた。

10月31日の離脱期日が約10週間後に迫る中、ジョンソン首相はトゥスクEU大統領宛の書簡で、バックストップをEU離脱協定案から削除するよう改めて要求。[nL4N25F472]一方、EUは離脱協定案の再交渉には応じない姿勢を崩していない。[nL4N25G3IP]

ジョンソン氏はこの日のメルケル首相との共同記者会見でも、メイ前首相がEUと合意した離脱協定案に含まれるアイルランド国境を巡るバックストップを完全に削除する必要があると繰り返し表明。メルケル首相が30日以内に代替案を提示するよう求めたことを明らかにした上で、合意が得られる余地は十分にあるとの見方を示した。

メルケル氏も「これまで2年かけて解決を見いだせると言ってきたが、向こう30日で解決を見いだすことも可能だ」と述べた。

ただ英独首脳の記者会見の約1時間後、フランスのマクロン大統領は、ジョンソン氏が主張しているバックストップの削除を含む離脱協定案再交渉は実現し難いとの見解を表明。ジョンソン首相は22日にマクロン大統領とパリで会談する。

ジョンソン氏は会見で英国とそれ以外のEU加盟27カ国の立場に隔たりがあることについて問われ、「われわれが十分に根気強く、前向きに取り組めば、解決できる」と強調した。

一方、トランプ米大統領はワシントンで離脱問題に関し「EUは英国をあまりよく扱ってこなかった」と述べてEUを批判。「EUは極めて有利に交渉を進めようとしている。われわれに何ができるか考えたい」と述べた。

マクロン氏は、英国が合意ないままEUを離脱することになっても自業自得だと主張。また、英国が米国といかなる通商合意を結ぼうとも、強硬離脱による経済的損失が相殺されるわけではないと述べた。

*内容を追加しました。