新着Pick
1131Picks
Pick に失敗しました

人気 Picker
科学論文のほぼ全ては英語で書かれており、読みこなすには科学英語や専門知識の体系的理解など、きちんとしたトレーニングが必要。さらに、書くとなったらまた別次元の準備(研究で成果を出すことや自分の研究を分野の文脈で位置付けることなど)とトレーニングが必要となる。研究者になるためには大学院で5年ぐらいかけてこのような科学論文リテラシーを学ぶのである。よって、一般の方々から見れば読みにくくて当然であり、その価値を見極めるのは非常に困難と言わざるを得ない。一方で、科学研究者側もその価値を一般の方々とどうにか共有するために四苦八苦しているのが現状である。一つだけ言えるのは少なくとも研究者側はこのギャップを埋めるために努力し続けることだと思う。

もう一点。arXivは物理学分野から始まったので、私が院生の頃には既にarXivで論文を読む習慣があった。なので、既に(玉石混合から石を弾ける)リテラシーの備わっている研究者がジャーナルにわざわざお金を払う必要があるのか疑問。一方で、arXivには査読前の論文も掲載できるのでクオリティコントロールの問題があるが、一般に低クオリティの論文をarXivに掲載すると、研究者の間で即刻信頼が失われ評判が落ちるので普通はやらない。この辺りは研究分野によってカルチャーが変わるようである。
誤解を招きそうなところを補足します。

・インパクトファクター
計算式を見ればわかりますが、あくまで「学術誌」の指標であり、論文の指標ではありません。ただし結果として、論文に箔をつけているのが残念ながら実状です。

テレビの視聴率だけで評価できる時代が終わったように、インパクトファクター以外の指標を作ろうとする動きはあります。論文単位であれば、SNSやニュースサイトの引用数を算出する「オルトメトリクス」があります。他には、研究者単位で被引用数の指標となるh indexもあります。こちらはGoogle検索で簡単に出てきます。

・論文数の推移
「論文をバンバン出しても引用されなければ価値がない。論文数だけで比較するのはナンセンス」という意見が出てくるかもしれません。残念ながら被引用数(トップ1%論文数)でも日本は低下しています。
https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2015/RM238_42.html

・日本の競争力低下の原因
他の要因として、効率を重視するあまり本質的な研究に割く時間が少なくなっていることが指摘されています。
https://tech.nikkeibp.co.jp/dm/atcl/column/15/032700107/060900010/
「私が日本の弱点だと思うのは「ムダを省く」という掛け声が大きすぎるということです。教員もただただ忙しそうに働き続けなければならず、研究者が考えを深める時間がないような社会になっている気がしますね。運営費交付金を削って、その分、うまく効率化して研究を進めるという名目で働かされ続けているわけです。
 こうした環境では本当に重要な研究ができません。そうした負のスパイラルから抜け出して、余裕を持って研究するという学術社会をつくっていかなければ、日本のサイエンスはダメになる一方だと思います」

研究者の方と話をしていると「会議が、書類が……」という声をよく聞きます。

・arXiv
物理分野では以前からありますが、生命科学に限ればやはり学術誌に掲載されてナンボ、という世界です。

個人的にはオープンアクセスを推進してほしいです。5年前におもしろい議論があったので載せておきます。
http://scienceinjapan.org/topics/20140326a.html
論文や研究者評価の仕組みは、 Twitterに例えると分かりやすいです。

論文をツイートに例えましょう。引用とはつまり、「リプ」(RTでもいい)。リプ数が多いツイートほど、影響力のあるツイートと言えますよね。同様に、引用件数が多い論文ほど、影響力のある論文と言えるわけです。

有名研究者とは、要はインフルエンサーです。多くの人がその人の研究をフォローしているので、多くの引用(リプ)がつきます。

でもTwitterの世界には、リプやRTを稼いでインフルエンサーに成り上がりたいばかりに、パクツイをしたりフェイク情報を流したりする輩がいるわけです。残念ながら、学問の世界にもそういう輩がいるんですね。

んで、そのようなデマ論文を防ぐ仕組みが「査読」です。ツイートみたいに誰でも勝手にポストしていいんじゃなく、内容を精査し、必要ならば修正をした上で論文誌に掲載されます。でももちろん時間がかかる。それはこのまとめ記事が指摘する通り。

で、最近は「新しい論文発表の仕組み」なるarXivが登場し、このサイクルが劇的に短くなったわけです。しかーしarXivはTwitterと同様に審査がない。誰でもやろうと思えばパクリ研究やフェイク論文を掲載できちゃいます。arXivは確かに「知の共有」に革命をもたらしつつあるのですが、その正確性をいかに担保するかが課題と言えましょう。

なにかにつけ新旧の二項対立という構図に落とし込んでしまうのがNews Picksの悪癖のように思いますが、「知の共有」については、(他の多くと同様に)単純な新旧二項対立では語れません。両者が共存しているのが目下の現状です。スピーディーな知識の拡散にはarXivが用いられますが、信頼される情報ソースとして、旧来的な論文誌の役割がなくなることは、すぐには無いと思います。
論文読むの好きなんですが、トップジャーナルの論文は読んでいて映画のように美しいストーリーがあるので科学ニュースを見るだけでなく元論文を読めるようになることもお薦めです。購読料の問題やオープンアクセス化の推進、arXivの台頭などで今後数年で学術論文を取り巻く環境が大きく変わっていくだろうなと感じてます。
読む側の立場に立つと、arXivのようなところは、見る目をとことん必要とする一方、有名雑誌はそうは言ってもしっかり査読が入るので読む側の見る目はあまり必要のない傾向があります。市場で掘り出し物を探すか、高級スーパーでブランド品から選ぶかの違いに似ています。

私は医療に関わる雑誌しか読みませんが、医療界の4大誌と呼ばれるトップジャーナルには、やはり美を感じるようなデザインの研究論文が投稿されてきますし、みるものを安心させることも多い。高いブランド品に辟易とすることもあるものの、その中に誰にも否定できないような美しい作品が存在し続けるのに似ています。

また、批判もあるところですが、インパクトファクターによる競争の原理が研究を加速し、活性化してきたのも事実で、それが果たしてきた功績も大きいと思います。

どちらが残るか、ではなく、どちらにもその存在意義があると私は思います。
一般の方々に学者の不思議な世界をご理解頂く、とても良いまとめだとおもいました 中のヒトとして二点だけ:

1. ジャーナルの編集者・査読者は通常無報酬の長時間労働で、これが高品質の編集者・査読者の確保、ひいては掲載論文の品質に与える影響は無視できないですねぇ

高品質の編集者や査読者ほどお忙しいので、引き受けて頂けません 仮に引き受けて頂いても、お忙しいので査読プロセスに時間がかかります また、そういう方々は品質バーが高いので、人気の分野に便乗しただけの、根本的な新規性に乏しいペーパーはどんどん落とします ただそういうペーパーは、それ以下の品質の大量のペーパーに直ぐに引用されることが多いんですよ 一方、根本的に新しい概念は、それ自体とその価値を理解出来るヒトが少ないので、引用はすぐには伸びません

で、査読プロセスが長くて、引用数が少ないと、ジャーナルのインパクトファクター(と編集者の「評価」) に悪影響するので、それも高品質の査読を維持するには逆風になっていますねぇ (編集者のボヤキ)


2. メリケン学者の評価でおそらく最も重要な tenure evaluation では、記事にある論文数・被引用数・出版さきジャーナルのインパクトファクターだけで評価することはありません。

インパクトファクターの代わりに、その分野の専門家によるジャーナルのランキングと、被評価者によるランキングを総合して作ったランキングを使うのが通常です また被引用数の代わりには、複数の外部専門家(通常は6ー8人)による、研究・教育・学会活動の質に関するレターを使います。

ペーパーの被引用数と出版先ジャーナルのインパクトファクターは、参考としてtenure casebookに載せることはありますが、意図的に無視する場合さえある位、これらの指標のみでの評価の危険性は認識されていると思いますねぇ
論文の仕組みと現状、古くて新しい課題、日本の立ち位置、最新トピックスがコンパクトに分かりやすくまとまっている。すごい!
科学論文の現状の問題点が、とてもわかりやすくまとまっています。なによりここにコメントする研究者のピックが凝縮されていて、このページのリンクがもっとも貴重だと思います。

どのご意見にも同意するのもが多いので、実際にCNSへの投稿やインパクトファクターの評価に影響されるような立場から、他の観点(セルフアーカイブ等)を追加します。

【やはり分野によって状況が異なる】

分野により、査読のポイントや、再現性の確認に必要な要素と時間がことなるため、二律背反では語れない状況もあると思います。再現性をとるのが難しい、または時間が掛かる分野の場合は、個々人または査読者がその事象に対して検証することはできません。
時間がかかるものとしては、たとえば生物学の実験を伴うようなもの、人を対象にして行う医療が絡む実験をともなうものは最たるものです。論文で証明したい事象の結果を得られるまで、待ち時間が発生します。

そのため、そこには同業者や、その分野の高いレベルの理解力のある方の知識と評価に頼る必要が生じます。
この記事にある、arXiv.org に生物学や医療系の投稿がほとんどないのは、それも反映されていると思います。Biology(生物学)がつくカテゴリーには “Quantitative Biology” (定量生物学)がありますが、バイオインフォマティクスを始めとした論文がそのほとんどです。

【セルフアーカイブ】

我々の分野ではどのような試みがあるかといえば、ResearchGate をはじめとする研究用SNSに、自分の論文等をアップロードする行為です。ただし、これは著作権などの問題で賛否両論です。一方、それをクリアしながら進もうとしている活動が京大の KURENAI(紅)をはじめとするオープンアクセスリポジトリで、KURENAIは国内No.1, 世界50位です。
詳しくはページを見ていただければわかりますが、学術出版社等への許諾をとって進めています。
http://bit.ly/NP190822-1

例えば、世界中で引用されている、山中伸弥先生がマウスでiPS細胞を初めて報じた論文。これは CNS の「Cell」掲載ですが、紅でどなたでも読むことができます。
http://bit.ly/NP190822-2

このような取り組みも、記事に付け加えたいと思います。
arXivという論文投稿システムを今まで知りませんでした!いまはこんなものができているのですね。気象はAtmospheric and Oceanic Physicsに分類されるかと思いますが、いきなり乱気流についての論文が載っていて、あとで読もうと思います。

さて、論文のインパクトファクターは確かに重要で、今をときめく研究にまい進しているということの一つの指標ですから、小野さんのtwitterの喩えでいうところのアルファツイッタラーを目指せば、さらに研究のためのお金を出してくれるスポンサーも現れるわけで、研究者としてはそれなりに一人前ではありましょう。
ですが一方で、学者たりうるからには自発的に何かの学問にのめり込んで、今まで明らかになっていない何かを解き明かしたいと思うから研究者をやっているのであって、そのようなtwitterごっこにうつつを抜かしているのは学者の本分ではないよね、という意見もまた然りです。

気象分野では、日本の気象学会の地位はアジアでは随一といえ、学会誌も基本的に英語で書かれているので日本ではないアジアからの投稿も多く、日本人の方が3-4割のシェアしかもっていないような状態で、無理にサイエンスやネイチャーにいく用事がないような雰囲気です。とはいえ、論文の査読や編集がボランティアベースであるという問題は同じで、データの捏造などがあったときに100%見抜けるのかという問題も同じです(ただし気象学の場合にはデータを捏造するとバレるので意味がほとんどないという業界特有の状況もあります)。

arXivは上手に使えば、自説を発表するにあたり強力なプラットフォームになりうるなとは感じましたが、同時にSNSが従来の新聞や雑誌、本といったものを完全に置き換えることがないのと同様の状況だとも感じました。SNSは速報性重視、その分既存のメディアは落ち着いた情報源として残るわけで、どちらかがどちらかを駆逐して終わりという話ではないと思います。
非常にわかりやすいですね!!

Caltechにいて感じたのですが、必ずしも研究者全員が、論文の引用数や掲載された雑誌を絶対的な研究者の能力の指標にしているわけではないようです。

例えばCaltechの教授(助教)職に選ばれた人たちは、応募時点で必ずしもNature誌やScience誌にバンバン出してるわけではありません。

選考する現職の教授たちは、応募者の研究のビジョンや能力、どう学校に貢献できるかなどを自分たちの視点で見ているようです。

でないと、研究者の能力の判断を、雑誌の査読者や、学生もいる科学コミュニティに任せることになってしまいますからね