[香港 13日 ロイター] - 香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は13日、「自由の名を借りた違法行為」が香港の法の支配を損なっていると述べ、反政府デモからの回復には長い時間が必要となる可能性があるとの認識を示した。

同長官は「暴力行為が和らいだ後に」責任を持って経済を再建していくと表明した。

中国の香港マカオ事務弁公室の報道官はデモについて「テロの芽が出つつあり重大な犯罪行為だ」として非難している。

この日の香港株式市場ではハンセン指数<.HSI>が1%以上下落、1月4日以来の安値を付けた。同指数はその後も約1.5%安で推移している。

同行政長官は、抗議活動により香港が「パニックと混乱の状態」に陥っていると指摘。「自由で開かれた、非常に寛大で、経済的に安定した都市である香港は、深刻な傷を負うだろう。回復には長い時間がかかるかもしれない」と述べた。

抗議活動は激しさを増しており、中国の習近平国家主席にとって、2012年の就任以降で最大の課題の1つとなっている。

抗議活動は容疑者の中国本土への引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正をきっかけに始まった。デモ参加者は、香港の自治権を認めた「一国二制度」が揺らいでいると批判。行政長官の辞任を求めている。

香港マカオ事務弁公室の報道官は北京で「香港は重大な岐路にある。抗議活動参加者らはここ数日、警察への攻撃に極めて危険な手段を頻繁に用いている。テロリズムの芽が出つつあり重大な犯罪行為だ」と指摘した。

中国はテロリズムの脅威に触れることで、新疆やチベットで強硬手段を正当化してきた。

一部抗議活動が公式見解でテロリズムと表現されたことについて、香港の法律専門家らは広範な反テロ法適用や権力行使につながる可能性を指摘する。

デモによる混乱を理由に12日に全便を欠航していた香港国際空港が13日、業務を再開したが、空港運営会社は、運航への影響は続くとの見方を示している。

依然として数百便が欠航となっており、ベトナム航空<HVN.HM>、ジェットスター・パシフィック航空、マレーシア航空は旅行者にスケジュールの変更を呼びかけている。

空港は12日、市民の座り込みによる混乱で、すべての発着便が欠航となった。ただ、座り込みは過去5日間、空港の到着ロビーで平和的に行われており、具体的に何が運航停止の原因になったかは不明。

座り込み参加者のほとんどは深夜過ぎに空港を後にしたが、約50人が13日朝の時点でも残っていた。

同空港は世界で8番目に利用者が多く、年間7300万人が利用している。

ウェブサイトによると、業務再開にもかかわらずキャセイパシフィック航空<0293.HK>は200便以上の欠航を決定した。キャセイは一部の連絡便のみを運航する予定。

同社の株価は前日、10年ぶりの安値に下落。13日午前も4.5%以上値下がりしている。

中国の航空規制当局は9日、キャセイに対し、抗議活動に関与した乗務員は安全への脅威として、本土便に乗務させないよう求めた。同社は中国政府と香港の民主派の間で板挟みになっている。