(ブルームバーグ): ノバスコシア銀行の元資本市場戦略責任者で、現在はFETIグループ創業者として最高経営責任者(CEO)を務めるガイ・ヘーゼルマン氏は、持続不可能なペースでの与信膨張後に資産価格が急落する「ミンスキー・モーメント」に世界の市場は近づいているとの認識を示した。米ニュージャージー州を拠点とするFETIは、ポートフォリオマネジャーと連携して課題解決のアイデアを提供している。

ヘーゼルマン氏はインタビューで、「近年経験してきたような低ボラティリティー(変動性)局面の持続によって、レバレッジやリスク追求の行動が大幅に増えた」と指摘。「これまで目にしてきたように、ボラティリティーに変調があれば、マージンコールに対応した資産売却の必要性がしばしば生じる。その結果、影響が波及しやすい状況となる」と説明した。

ヘーゼルマン氏はまた、「米金融当局が自ら怪物をつくり出しているという点に全く疑いはない。各国・地域の中央銀行がずっと市場を下支えしたり、実質利回りをマイナスのまま維持したりしようとしても、持続不可能だ」と語った。

その上で、「政策決定は無謀となっている。米金融当局による措置の意図せぬ帰結は極端かつ逆効果となる。当局は市場に膨大な不均衡や巨額の負債を生じさせ、ゾンビ企業を生きながらえさせて、金融資産のバリュエーションをファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)から大きく乖離(かいり)させている。こうした状況はいずれも反転するだろう」と警告した。

さらに、「今ではレバレッジがあらゆるところに分布し、シャドーバンキングが大きくてこ入れしている。このため、現在生じつつあるかもしれない次の危機は、前回とは非常に異なったものとなるだろう」とコメント。銀行システムは以前よりも良好な状態にあるが、「資産価格下落の規模はもっと悪くなることないにしても、以前と同程度となる可能性がある」とヘーゼルマン氏は話した。

原題:Minsky Moment May Be Here for Global Markets, Haselmann Says(抜粋)

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