[東京 7日 ロイター] - ソフトバンクグループの孫正義社長は、人工知能(AI)関連企業に投資するビジョン・ファンドの第2弾について、1─3カ月以内に投資が始まるとの見通しを示した。

7月26日時点で投資家のファンドへの出資予定額は合計約1080億ドル(11.7兆円)に達しているが、ファンド規模はさらに拡大する見通し。

孫社長は1号ファンドの大口投資家であるサウジアラビア王国とアラブ首長国連邦アブダビ首長国について「両方ともに2号ファンドについても高い関心を持っており、いま具体的な条件について詰めている最中だ」と述べ、2号ファンドに参画する可能性が高いとの認識を示した。

1号ファンド時には投資意向が固まってから実際に投資合意まで約9カ月かかったが、「今回は9カ月よりは短く済むだろう」という。

2号ファンドにはソフトバンクグループも380億ドル(約4.1兆円)投資する予定で、1号ファンドの投資先上場などで得た資金を充てる方針だ。

孫社長は「1号ファンドの投資先の上場が続々と始まってくる。おそらく今年度は5─6社程度、来年度は10社程度上場するのではないか」と語った。

<四半期利益が初の1兆円超>

2019年4─6月期(国際会計基準)の営業利益は前年比3.7%減の6888億円だった。前年同期にアーム中国子会社関連で一時益を計上した反動が出た。

ビジョン・ファンドとデルタ・ファンドの営業利益は3976億円だった。

最終利益は前年比3.5倍の1兆1217億円だった。アリババ株式先渡売買契約決済益が利益を大きく押し上げた。

孫社長は「四半期利益で1兆円越えたのは初めての経験。記念すべき成果だ」と語った。

2020年3月期予想は開示していない。リフィニティブが集計したアナリスト18人の営業利益の予測平均値は1兆4217億円となっている。

<親子上場、欧米で禁止されていない>

ソフトバンクグループを巡っては、孫会社にあたるヤフーがひ孫会社のアスクルの経営に強く介入したことで、親子上場の是非を問う声や少数株主の利益保護を求める声が一部に出ている。

孫社長は「親子上場は欧米でも禁止されていない」と強調。その上で、少数株主の利益保護についても「大株主がいて危険だから投資したくないという人は投資しなければいい」と述べ、投資家に選択肢があるのだから問題ないとの認識を示した。

*親子上場について情報を追加します。

(志田義寧)