【リーマントラベラー】旅をすれば「働き方」が変わる

2019/7/27
激務で知られる大手広告代理店に勤めながら、週末だけを利用して世界一周を果たした「リーマントラベラー」こと東松寛文氏。
東松氏が提唱する「休み方改革」に迫る連載第2回目では、人生を大きく変えるポテンシャルを持つ「旅」の効能を解き明かしていく。

上司を巻き込んで、味方につける

──仕事の忙しい職場では、週末とはいえ「旅行に行きまくっている」ことを言いづらい空気がまだまだ日本にはあります。また、仕事で週末の対応を求められることもあるかと思うのですが、「リーマントラベラー」であることに対して上司や同僚の理解は得られたのでしょうか?
東松 「許される」カルチャーは、自分で作るものだと思っています。
前回も少し話しましたが、最初の旅は、社会人3年目でロサンゼルスにNBAを見に行ったときのこと。このときは、とにかく「ずっとNBAに行くのが夢だった!」と熱く語って、上司にも快く送り出してもらいました。
ただ、毎回夢を語るわけにもいきませんよね。なので、むしろチャレンジだったのは、その次の旅です。
後輩とふたり、3連休を利用して韓国に行ったのですが、その程度ですら上司にはなんとなく言い出しづらかった。そこで、こっそり行ってこっそり帰ってこようと思って出発したのです。
(Fly_dragonfly/Getty Images)
当時は「江南スタイル」がはやっていたころ。ソウル観光は一瞬で終わってしまってヒマだったので、何か面白いことをやろうと思い、白シャツとサスペンダー、サングラスを買って、髪の毛もセットして、東大門市場でPSYさんの真似をして写真を撮りました。
その写真をフェイスブックにアップしたら、普段の3倍くらい「いいね」が付いたんですよ。
そのとき感じたのが、「自分が全力で楽しんでいる写真」は、見る人にも面白がってもらえるということ。旅の写真はどこか自慢っぽくなりがちですが、本気で楽しんでいる写真はちょっとした「コンテンツ」として受け入れてもらえる。
以後も、韓国を再訪したときはカラフルなスキニーパンツをはいてKARAのまねをしたり、インドでガンジス川に入ったりして写真を発信しているうちに、周りから「次はどこへ行くの?」「楽しみにしてるね」と言われるようになりました。
こうして「旅好きキャラ」をブランディングすることに成功したのです。
面白かったのは、自分と遠い場所から順番に反応が変わっていったことです。最初は社外の人が「面白いね」と言ってくれて、続いて遠くの部署の人が反応してくれるようになりました。オセロがひっくり返されていくように、徐々に空気が変わっていったんです。
(写真:東松氏提供)
──逆に言えば、近い場所の人ほど「また休んでるの?」みたいな雰囲気だった?