[フランクフルト 25日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は25日に開いた理事会で、主要政策金利を据え置くと同時に、追加利下げや資産購入の再開を検討する方針を明らかにした。早ければ9月の会合で利下げに動く可能性がある。

ドラギECB総裁は理事会後の会見で、ユーロ圏の景気見通し悪化を踏まえ、インフレ目標に柔軟性を持たせる方針を示し、金融緩和に動く姿勢を鮮明にした。

ECBは理事会後に発表した声明で、政策金利を2020年半ばまで、現行水準もしくはそれを下回る水準にすると言明し、来年半ばまで現行水準に据え置くという方針を撤回。政策金利のフォワードガイダンス強化や資産購入策の再開などを含む追加緩和の選択肢を検討するようスタッフに指示したことを明らかにした。

ドラギ総裁はユーロ圏の「見通しは一段と悪化している」とし、ECBが利下げ、新たな債券買い入れプログラム、新たな政策ガイダンスを模索していることを明らかにした。

さらに「製造業を巡る状況は悪化、製造業に軸足を置く国の状況もますます悪化している」と述べた。

ECB声明からは、インフレ率を中期的に「2%弱」とすることを目指すという文言が削除され、「インフレ目標のシンメトリー(対称)にコミットする」と表明した。

ドラギ総裁は「インフレ面における状況は望ましくない。シンメトリーとは2%という上限を設けないことを意味する」と述べた。

「ECBは恒久的な低インフレを容認しない。シンメトリーとは、インフレが目標の上下いずれに振れても、理事会が断固として対応していくことを意味する」と言明した。

総裁はまた、金利低下によって収益が圧迫される銀行の負担軽減策を検討していく可能性も示した。

ECBはこの日理事会で、主要政策金利のリファイナンス金利を0.00%、限界貸出金利を0.25%、中銀預金金利をマイナス0.40%にそれぞれ据え置いた。

ECBの決定を受けてユーロは一時対ドルで下落。しかし、ドラギ総裁が会見で、リセッション(景気後退)リスクは依然低いと述べたことなどを受け持ち直し、1ユーロ=1.1162ドル近辺で推移した。

ユーロ圏のインフレは、10月末で退任するドラギ総裁の任期8年中、過去6年にわたり目標を下回って推移。また、最近の貿易摩擦が企業の景況感への重しとなる中、欧州の製造業活動は低迷している。

しかし、ECBが今後いかなる緩和策を実施するにしても、政策余地は限られている可能性がある。

金利はすでに過去最低水準となっているほか、国債購入を巡っては、複数のユーロ圏加盟国の国債がECBが設定する買い入れ上限近辺にある。バランスシートはユーロ圏国内総生産(GDP)の40%に相当する水準にあり、緩和策が限界に近づいている状況を示唆している。

*内容を追加しました。