[ワシントン 22日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のサビーヌ・ウェイアンド委員(通商担当)は22日、EUは世界貿易機関(WTO)改革や世界的な通商を巡る全般的な問題の解決に米国と取り組んでいく意向を持っているとしながらも、トランプ米政権が欧州の自動車に対する関税を発動させた場合、EUは報復措置を導入すると述べた。

米国を訪問中のウェイアンド氏は戦略国際問題研究所(CSIS)主催のイベントで、自動車や航空機などを巡る米国との関税措置の応酬を回避したいというEUの姿勢を改めて強調。中国の通商を巡り欧米が共有している懸念についても米国と取り組んでいく意向を示した。

ただ同時に、EUは米国がちらつかせる制裁導入の警告はWTO規則に違反すると考えており、こうした脅しには屈しないとも表明。「友人同士であっても意見が一致しない時はあるが、この件に関しては別の問題だ」とし、米国が欧州の自動車に対する関税率を25%に引き上げればEUは報復措置を導入し、こうした事態はすべての関係国にマイナスの影響が及ぶと述べた。

また欧米が進めている交渉は、液化天然ガス(LNG)輸送などを含む一部の部門で進展が見られているとしながらも、工業製品の関税など大きな問題についてはほとんど進展していないことを明らかにした。

ただ、欧米がWTOを舞台に欧州の航空機大手エアバス<AIR.PA>、および米ボーイング<BA.N>対する補助金は互いに不当と主張し合っている問題について、EUは解決を望んでいると表明。EUにはWTO規則に従うと同時に、航空機に対する補助金を巡る規則について交渉する用意があると述べた。

ウェイアンド氏は向こう2日にわたりワシントンに滞在し、米通商代表部(USTR)のジェフリー・ゲリッシュ次席代表らとの協議に臨む。 *内容を追加しました。